名古屋で行なった驚きの政策「右に立つ人を雇う」
そんな中で、“片側空け”の慣習に真っ向から挑んだ都市がある。名古屋市だ。実際、SNS上では名古屋市の変化に驚く声が多く投稿されている。
〈名古屋のエスカレーター 片側に寄らずみんなちゃんと2列立ちしててすごい。東京や大阪では見れない光景。なんでなんだこれ〉
〈東京も名古屋みたいにエスカレーター立ち止まるようにならないかな〜〜なんね〜だろうな〜〜片側だけに行列できてるの本当あほらし〉
〈名古屋に戻ってくると、みんな律儀に2列でエスカレーター乗ってくれてるから、なぜか安心する。広島はまだなのか、浸透しないのか、片側空けてるからすごい長蛇の列になってるからさ。名古屋はどうしてこんなに浸透したのか…〉
〈エスカレーターの件私も両方乗るに賛成。こないだ名古屋帰った時に左右両方がかなり浸透していてすごいなと思った。名古屋やるやん!て。東京の片側空けは結構異常に感じる。10年以上いても〉
なぜ名古屋でここまでの変化が起きたのか。市役所の消費生活課・担当者に話を聞いた。
「最初は、安全性を理由に、“エスカレーターを歩く人を減らす取り組みをしてはどうか”という提案が議会の中で出されたんです。それを受けて、2023年3月に条例が議決され、同年10月に施行されました。そこから本格的に“立ち止まり利用”の啓発を始めました」(名古屋市役所・担当者、以下同)
市では、市交通局や鉄道会社と連携し、駅構内にポスターを掲示したり、アナウンスや現場での声かけを通じて市民の行動を変えようとしてきた。
「もちろんポスターやチラシといった広報物も使いましたが、やはりメディアに取り上げてもらえたのが大きかったですね。例えば取り組みの一つとして、主要駅でエスカレーターの右側に立ってもらう人を雇ったり、駅で市長が自ら呼びかけたりしました。
そうした活動をしていく中でメディアが注目して、報道してくれ、そこから認知も広がっていったんです」