「ビジネスマナーが、まったくわからなかった」

――5月31日付で所属グループ「7ORDER」を卒業されます。7ORDERは、それまでの所属事務所を辞めたあとに結成・活動されていますが、タレントさんがご自身で社会に出ていくということはいろいろ大変だったのでしょうか?

大変というよりも、学ぶことのほうが本当に多かったですね。事務所のサポートなしで活動するのは、やっぱりすごく難しいことなんだと実感しました。同時に、前の事務所に所属していたときの環境がいかに素晴らしかったかということも、あらためて理解しました。

もちろん、当時もそのありがたみはわかっていたつもりでした。それでも、外に出てみて初めて気づくことって本当にたくさんありましたね。たとえば、以前はすべて事務所が環境を整えてくれていて、タレントは本当に現場に行くだけでよかったんです。仕事に100%集中できる環境を、周りの方々が常に作ってくれていたんだなと。

それが、外に出たらまずは環境作りから始めなければならず、自分たちだけではどうしても難しいことも多くて……。事務所って、これまでの長い歴史の中でその土台を作ってきたんだなと、あらためてすごさを感じました。

7ORDER「Re:ally?」CDジャケット
7ORDER「Re:ally?」CDジャケット

――独立する際は、やはり不安でしたか?

そうですね。ただ当時は、不安よりも「やってやるぞ」という野心のほうが強かった気がします。ある意味、冒険に出るような感覚でした。

たとえば、事務所に所属していたときと比べても、取材していただく機会は減りましたし、なかなかお世話になったメディアの方々と会えない寂しさもありました。「これが現実なんだな」と直面した瞬間でもありましたね。自分の実力はまだまだなんだ、と痛感しました。

――いちばん苦労したのは、具体的にどんな部分でしょう?

今でもまだ勉強中ですが、当時はビジネスマナーが全然身についていませんでしたね。

たとえば、クライアントさんとやりとりをする中で、急な変更があったときに、どう連絡すればいいのかといった感覚もわかっていなかったんです。いつまでに変更点を修正すればいいかを確認し忘れて、対応したときにはもう締め切りが過ぎていた、なんてこともありました。

それから、相手の方が会社勤めの場合、土日は連絡が取れないことが多いというのも、今さらながら理解しました。今までは、こちらの要望に当たり前のように応えてもらっていましたが、それってまったく普通のことじゃなかったんですよね。どれだけ自分が特別な環境にいたのか、あらためて実感しました。

後編では、7ORDER卒業後の活動やメンバーとの関係について深掘りする。

〈7ORDERを卒業〉週刊誌記者を演じる阿部顕嵐(27)にかつてパパラッチした記者が正面取材「追われるときにどう思う?」「週刊誌に思ったことは?」「卒業後のコト」全部聞いてみた_5
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/村上庄吾