レストランも高すぎて問題に? 

万博の“高すぎる”という指摘は、アクセスに限らない。SNSでは先日、 “本場イギリスのアフタヌーンティーが体験できる”という触れ込みのイギリス館のアフタヌーンティーが「5000円なのに冷凍ケーキと紙コップの紅茶」という内容で炎上し、ついには英国大使館が謝罪した。

その後、一部改善されたものの、紅茶をフレンチプレスで注ぎ、カップはコーヒー用という“英国らしさ”のない提供スタイルは、逆に話題となってしまった。

休憩所の確保もまた、万博における深刻な課題の一つだ。筆者が4月の平日に会場を訪れた際、飲食ブースはどこも混雑しており、特に飲食を提供する各国のパビリオンは軒並み長蛇の列ができていた。屋内で座って休憩したい人々にとって、こうしたパビリオンは事実上の“休憩所”でもある。

その中で、ひときわ空いていたのがポーランド館だった。他のパビリオンが混雑している中、ここはすぐに入れそうだったため立ち寄ろうとしたが、メニューを見て足が止まった。提供されているのは4500円のセットメニューのみで、ドリンクを追加すれば5000円を超える。

ポーランド館で提供されているメニュー
ポーランド館で提供されているメニュー

一方で、1000円台の軽食を出すパビリオンには多くの来場者が集まっており、価格の差が利用者の流れを大きく左右している様子がうかがえた。確かに、家族4人でランチに2万円を超える出費が必要となれば、多くの人にとって非現実的だ。 

比較的お手頃だったセルビア館のメニュー
比較的お手頃だったセルビア館のメニュー

 今後、夏の猛暑が本格化すれば、「とにかく屋内で座って休みたい」というニーズはさらに高まるはずだ。そんな中で、「高額な食事をしなければ休憩もできない」という状況が続けば、来場者の不満は増えていくだろう。

真夏の混雑する会場では、「いかに客を待たせず、快適に過ごせるか」が鍵となる。現在のように、「高いお金を払って西ゲートに行き、高いお金を払って食事をしなければ休めない」という仕組みでは、来場者の満足度は決して高くならない。

万博はまだ続いていく。だからこそ、来場者の声を受け止めた柔軟な改善が求められている。

万博はまだまだ続く…
万博はまだまだ続く…
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取材・文・撮影/集英社オンライン編集部