圧倒的なアイドルであり、女優だった中山美穂
1970年に生まれた中山さんは1982年に芸能界デビューを果たす。当初はモデル活動をしていたが、CMに出演するなど芸能活動が活発になってきたこともあり、定時制高校に進学するものの芸能活動を優先するために退学を選んだ。
1985年1月クールに思春期の性をテーマにしたホームコメディードラマ『毎度おさわがせします』で女優デビュー。つっぱり娘のトラブルメーカーののどか役で清純派とは一味違ったキャラクターで注目を集めた。
同年6月には初主演ドラマ『夏・体験物語』の主題歌となった『「C」』でアイドル歌手としてデビューし、セールスが17万枚を超える大ヒットとなる。年末には日本レコード大賞最優秀新人賞を史上最年少で受賞し、トップアイドルとして全国区の認知度を獲得していった。
1990年代に入り、1980年代にデビューした同世代のアイドルが歌手活動を離れていくなか、中山さんは歌手活動を継続してアルバムを発売しコンサートツアーを行ないながら、連続ドラマや映画、CM出演と歌手業と女優業を両立させていく。
1987年放送のドラマ『ママはアイドル!』でも「人気アイドルの中山美穂」として三人の子持ちの中学教師と再婚する役を演じて最高視聴率28.6%を獲得。
1998年には野沢尚脚本で、木村拓哉と共演したドラマ『眠れる森』が最高視聴率30.8%を記録するほどの大ヒット作となった。
2001年には北川悦吏子脚本のドラマ『Love Story』で、映画『Love Letter』でもタッグを組んだ豊川悦司と共に主演を務め、最高視聴率は24.3%を記録。
なお1989年のフジテレビ月9枠ドラマ『君の瞳に恋してる!』に主演後は、「月9」の常連となり、主演作が7作品と女性では最多を記録している。
歌手業では、1992年に主演ドラマ『誰かが彼女を愛してる』の主題歌として中山美穂&WANDS名義でリリースした『世界中の誰よりきっと』が183万枚のミリオンセラーとなり、1994年にも主演ドラマ『もしも願いが叶うなら』の主題歌だった『ただ泣きたくなるの』が104万枚のミリオンセラーとなった。
そんな中山さんが初めて“演技する快感と創作に参加する喜び”に目覚めるきっかけとなったと語るのが映画『Love Letter』だった。