「バラまいても票が取れなさそうならやめますはヒドすぎる」

高関税や物価高対策の一環として、当初は所得制限なく全国民を対象に一律3万~5万円程度の給付という案があがっていたが、これに対する国民の反発は強かった。

毎日新聞が行なった世論調査では、この政策を「評価しない」という声が半数以上で、「評価する」を大きく上回っていた。

評価しない理由としては、給付金ではなく消費税の減税を求める根強い声や、仮に給付金をバラまいたとしても、後からそれを理由にまた税金が上がることを懸念する声が多かったからだ。

石破首相(写真/本人Instagramより)
石破首相(写真/本人Instagramより)

また、昨年から国民民主党が掲げて多くの支持を集めていた「“年収103万円の壁”を178万円まで引き上げる」という案は、財源がないことを理由に与党が却下していた。しかし、そんな中でお金のバラマキという政策は矛盾のようにも感じられる。

さらに、内閣支持率が低下したことで、選挙前に票を集めたいためだけの苦肉の策ではないかとの批判も上がっていた。

減税と手取り給与アップを望む国民と、減税にはかじを取らない与党。両者の間に大きな溝があり、給付金という案は消えることになった。

しかしそのあとに発表された電気・ガス代の補助金やガソリン価格の引き下げという案も、決して支持が高いものではない。

電気代の高騰が続き、庶民の生活を苦しめている(写真/shutterstock)
電気代の高騰が続き、庶民の生活を苦しめている(写真/shutterstock)

ネット上ではむしろ、批判の声のほうが多く散見される。

〈意地でも消費税減税はしたくないっていう固い意志を感じるな。国民を助けない政府なんて要らないぞ〉

〈増税するときは国民の評判なんて一切気にしないくせに、バラまいても票が取れなさそうならやめますはヒドすぎる〉

〈一度やるって言ったものを引っ込めるのは最悪手だぞ。給付金と比べてしょぼすぎる補助をしても意味がない〉

〈選挙対策にならないなら大したことやりません…ってか。いやその金、俺たちが汗と涙を流して稼いだ税金なんだが…〉

新たに浮上した政策について、環境・エネルギーの専門家・江田健二氏は「現金給付に関する報道が出たあとで、結局は実施されないという方向になったため、期待していた方々の落胆も大きかったのではないかと思います」と、批判が大きくなった理由を指摘する。