都会の子どもの方がすすんでいる?―メイクアップと体毛処理

ところで、見た目への意識は都市部かそうでないかで異ならないことを確認しました。しかし意識はともかく、メイクアップという行動においては、違いはあるのでしょうか。また、メイクアップよりも経験頻度が少ない体毛処理においてはどうでしょうか。調査データで確認してみたいと思います。

住んでいるところを大都市と市と町村で分けて※2、メイクアップの経験について尋ねてみたのをまとめました。

書籍『子どものおしゃれにどう向き合う』より抜粋
書籍『子どものおしゃれにどう向き合う』より抜粋

見た目への意識と同様に、住んでいるところが都市部かそうでないかで違いは確認されませんでした。化粧品の入手のしやすさや実行のしやすさも、住んでいるところで大きくは違わないということがうかがえます。

同様に、体毛処理についてまとめてみました。

書籍『子どものおしゃれにどう向き合う』より抜粋
書籍『子どものおしゃれにどう向き合う』より抜粋

これも、見た目への意識やメイクアップと同様に、住んでいるところが都市部かそうでないかで違いは確認されませんでした。

これらの内容は、情報スピードや量に差がなくなっていることが原因の可能性があります。そしてこれは、住んでいるところに関係なく一律に現在の日本における「おしゃれ圧力」を子どもが受けているということも意味するのかもしれません。

ひとつ注意しておく必要があります。それは、ここではあくまでも経験や興味の有無を尋ねているということです。つまり、頻度やその種類は聞いていません。もしかすると、都会の方が普段からメイクアップをしていたりとか、都会の方がチークを使っているとか、そのような違いはあるのかもしれません。もしくは、都会の方が体毛処理を高頻度でおこなっていたりするのかもしれません※3。

これまで、子どものメイクアップの頻度やその種類、体毛処理の頻度や実施場所などについて扱った調査はいくつかおこなわれていますが、都市部か否かという要因を扱って分析してはいないようです。この点について検討することも、環境の影響を明らかにするという点では重要といえるでしょう。