「もう昭和の頭は殴られっぱなしで厳しいですよ」
「元の大家さんはもともと高齢だったから、別の人に所有権を譲ったってことなんでしょうけどね。正直言うと、私はここであと5年くらいはやろうと思っていました。自分の年齢が今65歳なんですけど、次に3年更新して、もう一度3年更新して71歳。体力的なことを考えると、それくらいがちょうどいいと思っていたんです」
5年前に移転した際、店の内装は大幅に変えた。和食屋らしい“わらすさ入り”の壁材がこだわりのポイントで、トイレの中も同じ壁材にしたそうだ。この内装代などを含めて、当初予定していた10年で返済していく算段があったという。
「まあでも、今はこれが契機だと思うようにしています。これだけ物価が高くなっている中で、ウチはラーメン800円、定食セットを900円で提供していて、自分で売っていて言うのもなんですが、ありえない値段なんです。
お客さんからは『値上げしなよ』って言われましたが、自分が客だったら1000円のラーメンは高く感じる。継続性を考えると限界だったのかなと。もう私みたいな昭和の頭は殴られっぱなしで厳しいですよ」
こうして、佐竹商店街を盛り上げる店の閉業がまた一つ決まってしまった。佐竹商店街では今年3月末にも、商店街のシンボルでもあったスーパーマーケット「PB FARM」が突然閉業。1918年創業のカステラとロールケーキ専門店「中屋洋菓子店」も一昨年に閉店している。
商店街を歩いてみると、平日の昼というのに、シャッターが閉められている物件が多い。一部では佐竹商店街の存続を心配する声も上がり始めているが、その実態はどうなのだろうか。佐竹商店街振興組合の担当者に話を聞いた。
「中屋洋菓子店が閉店したのは、旦那さんが突然亡くなったからです。70代後半くらいだったかな。ほかにはないケーキを売っていて評判がよかったんだけどね。また、今も営業しているほかのどの店も後継者問題は確かにあります。
店主のみなさんは高齢になってきて、商売を替えるか、店を貸すかっていう転換期に来ています。今の時代、子どもたちは会社員になって、店を継ぐのではなく外に出て働きに行っていますから。あと10年、15年すれば大きく変わってくる可能性はあります」(佐竹商店街振興組合、担当者)