有名女優の顔が悪用されている… 

「私がこの手の画像がオークションサイトなどで販売されているのをよく見るようになったのは昨年頃からです。中には、顔が明らかに有名女優やセクシー女優のものにすげ替えられた画像や、それらの画像を悪用したと思われるAI画像も散見されました。これは明らかに人権侵害であり、著作権侵害だと思いました」(尾谷氏) 

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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尾谷氏は「今回の容疑者らが供述している『悪いことだと思わなかった』という言葉が気になる」としながらも、こう続けた。

「悪いことだと思わなかったというのが、単純に言い逃れならまだしも『日本においては局部が“わいせつ物にあたる”ということを知らなかった』ということだとしたら、常識レベルの低下を感じます」

女性・子どもの権利など人権問題を主に専門とする弁護士の伊藤和子氏は、今回の摘発を「画期的だ」としながらも、こう提言した。

「AIで作成された性的画像を営利目的で頒布や拡散する事象はかなり深刻化しています。全国初摘発の意義は大きいと言えますが、刑法のわいせつ物規制は非常に限定的で、起訴基準が非常に厳しい。個別の案件での対応と併せて、米国や韓国など諸外国同様『ディープフェイクポルノ』に関する法規制が必要だと思います」

警視庁は今後も警戒を続けていく意向のようだ。AIグラビア写真集の販売そのものが悪いわけではないかもしれないが、わいせつ物の作成と販売は違法にあたるということを改めて知らしめる事件となった。無法地帯に今後もメスが入ることを期待する。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 写真/Shutterstock