メルカリに対する不信感…

また、詐欺の被害者となったsoshiさんは運営元のメルカリとのやり取りをこう振り返る。

「当然、私はメルカリに対して、事件のあらましを説明して速やかな返金などを求めました。しかし残念ながら、なかなか事態は進展しませんでした。

そうこうしているうちに、運営からのリアクションよりも先に出品者のほうから取引のキャンセルが行われて、結果として返金はされました。

これはあくまで推測ですが、私の投稿が思わぬ大きな反響を呼んでいて、それを見た出品者が慌てて取引をキャンセルしたのではないでしょうか」

問い合わせに対する事務局の返答
問い合わせに対する事務局の返答

およそ8万円もの金額が騙し取られずに済んだことは不幸中の幸いだった。だがもしもそれがSNSでの偶然の“大バズ”によるものだとすれば、釈然としない。

また、返金後もなお懸念も残るとsoshiさんは言う。

「取引キャンセルの場合、相手を評価することができないので、今回の出品者の評価を下げることができないんです。つまり今回の取引によって相手方が低評価をされることはなく、アプリ上では無傷なんです。そうとなると、事態が収まればまた似たような被害者を出すかもしれません」

今回の件について、SNSではさまざまなコメントが寄せられた。そのなかには自分も似たような被害体験があると語る人も少なくない。また、「すり替えられたと言われないよう、ちゃんと開封から動画撮ってたのは素晴らしい」とsoshiさんの対応を称賛する声も複数あった。

soshiさんのリアルな友人たちは、身近で起きた事件について戦々恐々とする人は多いという。

「やはり私の友人には洋服が好きな人が多いのですが、今回のことは『まったく他人事とは思えない』と恐れています。本当に、誰の身に起きても不思議ではないと思います」

趣味を楽しみ、安心して取引ができるためにも、欺罔(ぎもう)によって他人を絡め取る悪辣を許さない対応策が求められる。

取材・文/黒島暁生 写真/本人提供