「ずっと探していたアイテムだった」
届いたのは購入したはずのデニムではなく、果汁グミ……。いったいどういうことなのか。その真相を知るため、被害者のsoshiさん本人を直撃した。
soshiさんは現役の大学生。将来は服飾関係の仕事に就くことを夢見ている。そんなsoshiさんにとって、気に入った古着アイテムを見つけるのに重宝していたのが、フリマアプリ「メルカリ」だ。もちろん利用はこれが初めてではない。当時のやり取りについて、こう振り返る。
「4月8日に、レアでなかなか出回らないデニムの出品を見つけました。およそ8万円という値段はもちろん安くはないものの、ずっと探していたアイテムだったので『これは買うしかない』と購入に迷いはありませんでした。2000年代の中期に発売されたモデルで、デニム好きにはたまらない一品なんです」(soshiさん、以下同)
だが、すかさず購入ボタンを押したあと、soshiさんは違和感に気付いた。
「購入後に念のためにデニムの型番で検索をかけてみたら、別の出品者からの無断転載画像であることがわかったのです。そこで、私は出品者に対して、今回表示されている写真とは別のシチュエーションで撮影した商品写真を提示するよう求めました」
だが出品者から送られてきた写真は、疑念を深めるものだったという。
「明らかに先ほどの無断転載画像のデニムを切り取り、背景だけを加工処理したものでした。この出品者は信用してはならないと感じました」
メルカリには、出品者との取引が正しく成されたかどうかを取引終了時に示す受取評価がある。だがこの評価制度こそ、soshiさんの目を曇らせた。
「実は件の出品者は、評価の高い出品者でした。私が購入を即決したのも、他の取引相手からたくさん評価されていたからです」
多くの取引を成立させてきた評価のいい出品者による詐欺行為。なぜこのようなことが起こるのか。soshiさんはこう考察する。
「出品者から商品が届いたとき、取引をスムーズに成立させようとして、中身をよく確認しないで相手に高評価をつけてしまう人が多いと思うんです。
そうなると、中に何が入っているかわからないのに、出品者を評価してしまうことになります。これは自分が損をするだけでなく、将来的に被害者を生み出すことにもなってしまうんです」
冒頭で述べたように、デニムだとされた郵送物の中身が果汁グミということが十分にあり得るのだ。
「まったくふざけていますよね。郵送されてきた袋の形状などからして、明らかにデニムではないことがわかっていたので、何かの証拠となるように、開封の際には動画を撮影していました。しかし果汁グミが入っているとは夢にも思いませんでしたが」