自明の理だったトランプの大統領への返り咲き

ここで最も重要なのは、トランプ大統領が、まだ第45代大統領であった当時から、原子力エネルギーの利用促進に極めて強い関心を示していたことである。

彼の政策は「原子力2・0」とも呼ばれるであろう新たな原子力技術の導入やイノベーションを推進するものだ。これはSMRや高温ガス炉など最新の原子力技術の導入を支持し、より安全で効率的な原子力発電の実現を目指す。

第47代アメリカ合衆国大統領に就任したトランプ
第47代アメリカ合衆国大統領に就任したトランプ
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さらにトランプは、原子力産業の規制を緩和し、技術革新を促進することにより、原子力エネルギーの商業化や利用拡大を図る姿勢を示している。

加えて、最重要課題となる米国の国家エネルギー戦略について、エネルギーの独立性を高めるためにも、原子力を含む幅広いエネルギー戦略の一環として、原子力エネルギーの重要性を強調している。

そして、原子力産業の規制側にある次期NCR(国家原子力委員会)リーダーの選出についても、トランプは最大の関心を払っていた。そのため原子力エネルギーの推進を重要視する新リーダーを任命する可能性は非常に高い。

原子力エネルギーは、米国の国家安全保障にとり最重要課題であるため、国家として原子力発電をより推進するお膳立てができ上がっているのだ。

米国が国家として次に進むべく政策はすでに始動しており、トランプが前任期の大統領のときに打ち出した「原子力2・0政策」は、そのブレイクスルーを強力にサポートしている。

これらの経緯からも、トランプは共和党の代表者として、なるべくして大統領になったと言えよう。

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文/岩永憲治 写真/Shutterstock

トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界
岩永憲治
トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界
2025/3/26
1,870円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4087861419

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◆内容紹介
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