次世代の目玉となる小型モジュール原子炉の導入

このように米国議会がSMRに関する技術を推進させる法案を可決したことは、近年のエネルギー政策において注目すべき動きであると、私は強調したい。SMRは従来の大型原子炉に比べ多くの利点があるため、次世代のクリーンエネルギー源として期待されているからでもある。

なぜ原子炉を小型化しなければならないのか? かねてより原子力エネルギーを取り扱うにはべらぼうな土地、建屋が必要な上に、相応なリスクを取らなければならなかった。それらのデメリットを解決できるのがSMRなのだ。

アメリカのエネルギー省
アメリカのエネルギー省

①安全面→1基がトラックほど小型であり、大型原子炉に比べて低出力なので、事故時に安全性が確保されやすい。安全系設備がシンプルゆえに故障、人為的ミスが削減される。

②工場生産面→モジュール製造のため、建設地での組み立てが基本。それによる品質維持、工期短縮、建設コスト削減。

③操業面→さまざまな立地、環境に応じて操業が可能という柔軟性を備えている。

米国エネルギー省の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)からも、原子力実証およびリスク低減プロジェクトに多額の資金を提供している。

受賞企業(Awardees)には、第四世代原子炉ベンダーで開発者のTerraPower、X︲エナジー(X-energy)、ケイロス・パワー(Kairos Power)、ウェスチングハウス(Westing house Electric Company)、BWXテクノロジーズ(BWX Technologies)、サザン(Southern Company)などが含まれる。

さらに付け加えると米国国防総省(DOD)も、防衛施設で将来使用するためのプロトタイプのマイクロ原子炉(第四世代)を開発するために、プロジェクト・ペレ(ProjectPele)に資金を提供している。

米国輸出入銀行(EXIM)と米国国務省(DOS)も、SMRの展開を支援し、米国の輸出業者が世界のSMR市場で競争するための一連の金融ツールである「EXIMSMR資金調達ツールキット(EXIM SMR Financing Toolkit)」を発表した(前出「米国の国内原子力強化に向けた取組について」)。