書籍刊行、その後の“最高の気分”
クライアントとのやりとりは、大きな助けになった。みんな、食事計画の話だけでなく、自分の見栄えをよくする方法や自信を保つ方法についても知りたがった。
わたしがよく、髪型や服装を変えましょうとか、姿勢よく立ちましょうとか、笑顔でいましょうといったアドバイスをしてきたからだ。
そうしたことすべてを本に書いた。子どもたちに原稿を見せると、前より興味を示してくれた。そしてみんなで手伝ってくれたのだ。キンバルは5カ所のミスを直してくれた。トスカは、「わたしだって6カ所直したわ」と言った。
母が大きな声で原稿を読み上げて、文章の流れを確認してくれたこともある。助け合える家族がいて、わたしは幸せだった。
出版社はわたしの原稿を受け取ると、『最高の気分(Feel Fantastic)』というタイトルをつけた。読んだあとの感想をそのまま言葉にしたのだという。そして、表紙にわたしの写真を使いたいと言った。撮影費用は出版社が負担するというので、知り合いのカメラマンに依頼し、スタイリングはジュリアが担当した。
そのとき着た赤いパンツスーツは、それまで買ったなかでもっとも高価なスーツだったけれど、結果的にはとてもいい買い物になった。その後の講演でも何度も着ることになったからだ。
当時はSNSなんてまだなかったから、講演のたびに同じスーツを着ていても誰も気がつかなかった。
わたしのキャリアはようやくよい方向に進みはじめた。講演の契約は増え、おかげで本も売れた。この時期、ケロッグの本社で講演を行ったことがある。その講演では、健康な食事と自信について話した。栄養のある食事をとると、気分がよくなったり、自信を持てるようになったりするからだ。
この講演からすばらしい話がころがり込んできた。ケロッグが出版社に、わたしの本の表紙をスペシャルKシリアルのパッケージに使ってもいいかときいてきたのだ。当時ケロッグが進めていた「女性の自信向上キャンペーン」の一環だった。
わたしは、自身の著書がシリアルの箱に載った初めての栄養士になった。しかも、本の表紙はわたしの写真! まさに最高の気分だった。ケイはスーパーで、わたしの写真が載ったシリアルが棚いっぱいに並んでいるのを見て大感激した。
ケイは通りがかりの人に話しかけた。「これ、わたしの双子の姉なの!」
その人は感激した……なんてことはなく、びっくりして逃げていった。
ケイからこの話を聞いて、わたしたちは大笑い。
わたしは、仕事についても子どもたちについても、さらには自分の著書についても自信に満ちあふれていた。長いあいだ家を借りていたが、46歳にしてようやく新しい挑戦をする準備ができた。マイホームを持つときがきたのだ。