ブラック労働のつけで、追突事故や人手不足で休業も発生…

引き金となったのは、季節の目玉商品として2014年2月に販売された「牛すき鍋定食」を始めとする三種の「鍋定食」だった。

「仕込みと提供に手間と時間がかかる鍋定食が開始されるや否や、ただでさえ休憩も取れない過酷な“ワンオペ”を強いられていた従業員たちからは、『忙しすぎてやってられない』『辞めたい』といった声が続出。

2ちゃんねるやTwitter(現X)に『同時退職しよう』と促す声まで上がり、これに賛同したアルバイトが大量辞職する事態になった。“鍋の乱”は全国に広がり、3月下旬には人手不足のため休業、もしくは営業を短縮した店は123店舗にも及んだ」(同前)

写真はイメージです (PhotoACより)
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当時、閉店中のすき家に掲げられた「パワーアップ工事中」の張り紙を覚えている人もいることだろう。この騒動を経て、すき家のワンオペによる過重労働は一気に社会問題化。

第三者委員会による報告で、「月500時間以上の勤務」「2週間帰宅できない」といった信じがたい実態が明らかになった。

対応を迫られたゼンショーは同年、ついに深夜帯のワンオペを終了。深夜営業は複数勤務体制をとること、複数勤務体制が整わない店舗は深夜営業を休止することを徹底するとした。しかし――。

「2015年、鳥取県で『すき家』の3つの店舗を掛け持ち勤務していた21歳の男性が、長時間労働による睡眠不足から交通事故をおこし、2人にけがをさせる事件が起きた。男性は鳥取県倉吉市の店舗で働いていたが、人手不足を補うため、他の店舗でも勤務するようになり、事故当日は岡山の店舗で12時間半働いた後、そのまま鳥取の店舗で勤務するため、車で移動。その道中で居眠り運転し、追突事故を起こした」(社会部記者)

写真はイメージです(PhotoACより)
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さらに、「同年、ゼンショーの子会社でうどん店やラーメンの店を運営する『エイ・ダイニング』でも同様の複数店舗での掛け持ち勤務と長時間労働が明らかに。同社は20代のアルバイト店員に110時間以上の時間外労働や休日労働をさせ、休憩なしで連続16時間働かせた疑いで、書類送検された」(同前)

当初の反省はどこへやら、従業員の労働実態は変わらなかったのだ。そして2022年1月、ついに悲劇が起きてしまう。