「農家を守ろう」「おコメを食べよう」のスローガンを繰り返し、練り歩いた
トラクターのデモは明治通りから恵比寿を経て渋谷、神宮前、表参道、原宿駅前から代々木公園という距離5.5キロのコースを取った。一方、徒歩でのデモはゴール地点は一緒だが、やや短い3.2キロのコースとなった。
徒歩隊はトラクター1台が先導したが、運転席に乗り込んだのは♯10で紹介した静岡県浜松市のコメ農家・藤松泰通さん(44)だった。
「ついに始まったという心境です。こんなにも多くの人が集まってくれたというのも驚いています。私は農業を守るということは、食の安全を守ることだと考えています。それは子どもたちの未来を守るということにも繋がっていると思っています。
これはまだ始まりにすぎません。この始まりの一歩が次に繋がり、農業のあり方が変わっていってくれたらと思います。神聖なことだと思っていますので、しっかりトラクターにしめ縄を巻いてきました」
こう意気込む藤松さんに率いられたデモ隊は「農家を守ろう」「おコメを食べよう」「牛乳を飲もう」「野菜を食べよう」「果物食べよう」などのスローガンを繰り返し、都心の目抜き通りを練り歩いた。
先頭の隊列には山田元農水大臣らがいたこともあり、「あれ、元大臣の人じゃん」と指差す通行人がいたり、後方の隊列の中には、れいわ新選組代表の山本太郎氏の姿もあった。
沿道にはトラクターが車道を走っているのに驚いて二度見する人や、コンビニでアルバイト中の男性店員が外に出てきて様子をうかがったりもしていた。
いかにも農家という雰囲気の人だけでなく、こんにゃくの着ぐるみを着た人やおにぎりのかぶり物をした人などもいて、最初は何のデモ行進なのかわからない人もいたようだ。
実際に原宿で信号を止めてデモ隊が交差点を通る際に、信号待ちしていた若いカップルは「何? 信号なげえな。デモ?」と当初は迷惑そうな反応だったが、「牛乳を飲もう」のコールに「牛乳? なんのデモ?」と苦笑。しかし、東京都心では見慣れないトラクターを見つけると「うお、トラクター。百姓のデモって書いてある。すげー」と笑顔を見せていた。
デモ隊は表参道の車道を進み、代々木公園を目指したが、数あるハイブランド店の前にいるショッピング客も何事かといったように視線を送っていた。