低賃金と過酷な労働環境で若手の参入が進まず

卒業アルバムなどが保護者に売れないこと、運動会など保護者が参加できる行事では各自のスマートフォンやカメラで撮影することから、スクールフォトの需要が低下、学校側はコスト削減を進めている。

学校カメラマンが不足しているにもかかわらず、このコスト削減の影響もあり、報酬は低水準にとどまっている。その結果、コロナ禍が収束した後も、低賃金が原因で若手カメラマンたちのスクールフォト業界への参入は進んでいない。

「スクールフォト撮影の案件は、ほかの撮影業務と比較して待遇が著しく劣っています。遠方からカメラマンを招く場合でも交通費が支給されず、拘束時間が30分であっても1日であっても一律2万円という非合理な報酬体系も目立ちます。フリーランスのカメラマンは増加傾向にありますが、条件のいい仕事に人材が集中している状況です」(藤井氏、以下同)

カメラマンは機材の購入・維持費に加え、機材運搬用の車両費などの経費もすべて自己負担が基本となる。旅費も支給されないことが多く、一見、日給としては悪くない金額でも、実質的には採算が取れないケースも多い。

画像はイメージです
画像はイメージです

若手の参入が進まないもう一つの要因は「過酷な労働環境」である。行事によっては拘束時間が非常に長く、とくに修学旅行では重い撮影機材を持って2〜3日間同行し、朝から晩まで撮影を続けなければならない。

撮影時には特定の生徒に偏ることなく、全員をまんべんなく撮影する必要があり、高度な注意力が求められる。さらに撮影が終わったあとも、業務は終わらない。

「小学校低学年や幼稚園の撮影で、とくに注意が必要なのが下着の写りこみです。写真を購入できるサーバーには全員がアクセスできるため、センシティブな写真は排除しないといけない。そのため、1日に撮影した何千枚もの写真に不適切なものが写っていないかを細かくチェックし、修正する必要があります。クラスごとの仕分けを求められることもあり、非常に労力を要する作業です」