ベンチも一丸となって決勝戦に臨む小森江小学校の児童たちと宮房あゆみ先生(中央)
ベンチも一丸となって決勝戦に臨む小森江小学校の児童たちと宮房あゆみ先生(中央)
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障害のない子どもたちが競技用車いすで特訓

2024年11月7、8日に開催された第19回大会も、市内の5つの学校に通う小学5年生で構成された8チーム、約200人が熱戦を繰り広げた。

子どもたちは、毎年6月ごろから各小学校で車いすバスケの練習を開始し、本番に向けてトレーニングを重ねる。参加者の大多数は体に障害などを持っていない「健常者」だ。

なので、車いすバスケはおろか、「車いすに乗るのも初めて」という子どもも少なくない。病気やケガをした家族の誰かが乗っている車いすをこいだことはあったとしても、体育館の中を全力で走った経験のある子はほとんどいない。それが、たった5カ月間でドリブルをしながらコートの中を走り回れるようになり、仲間とパス投げ合ってシュートを決めるようになる。

第19回大会で優勝した小森江(こもりえ)小学校は、選手の車いすのスピードの速さとチーム内の連携プレーの精度の高さで初戦から他チームを圧倒し、決勝戦も28-2で制した。

決勝戦で4つのシュートを決めた高野泰雅くんは、「5カ月間、頑張って練習してきたのでめっちゃうれしい」と話した。同じく4つのシュートを決めた木村和司くんは「最初は練習に来られないこともあって役に立てなかったけど、最後は車いすバスケを通じてみんなの役に立てるようになれた」と喜んだ。

決勝戦、シュートを放つ小森江小の選手
決勝戦、シュートを放つ小森江小の選手

チームを率いた宮房あゆみ先生は、5カ月間の練習を通じて子どもたちが変化していくことが実感できたという。

「車いすバスケを通じて、みんなが自分と向き合うことができました。自分の弱さ、あるいは自分では気づいていなかった自分の強さ。それにみんなが向き合えたから、上手になれたのだと思います」

小学校の授業の一環とはいえ、スポーツ大会である以上、優勝以外の7チームはすべて敗者だ。5カ月間、クラス全員で何度も話し合いをして練習を重ねてきたのだから、負けた時の悔しさは大きい。泣きじゃくる子、悔しさで床を叩いて大声を出す子、あるいは試合後に感情的になって審判の判定に愚痴が出て、先生に「審判のせいにしてはダメ」と注意される子もいる。

それらもすべて、真剣に取り組んでいるからこその光景だ。