夫婦別姓でスパイがはびこる? 反対派の意見

「夫婦が別姓になれば“伝統的家族観”が崩壊し、戸籍制度が破壊され、それによって海外のスパイが日本ではびこるのでは…との説が、SNSなどで散見されます。

近年はこれに加え『子どもの姓の問題がある』という主張があり、親と子どもの姓が異なることによって疎外感が生じたり、親子の絆が失われたり、学校現場に大変な混乱が生じる、とされています。

また、『旧姓利用で十分である』『そのようなことに時間を割いている時間はない』『慎重な議論が必要』といった主張もあります」(遠藤結万氏、以下同)

SNSで散見される“どうでもいいからほかの議論を……”という主張の中には、本当にどうでもいいと思っている層と、そう主張することで選択的夫婦別姓の議論を先送りにしようとしている層がいるのかもしれない。

それがまさしく、30年以上もこの議論が続いてきた理由なのかもしれない。

反対派が危惧するのはスパイのはびこり?(画像/Shutterstock)
反対派が危惧するのはスパイのはびこり?(画像/Shutterstock)
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また、反対派の中には「夫婦別姓だと子どもがかわいそうだ」という声もあるが、夫婦別姓が実現しないために事実婚などを選択する人が生じている問題もある。

「そもそも姓によって家族の絆が強まったり弱まったりする、という主張はやや理解しづらいところがあります。

ただ、自民党内には、真っ向から反対と言いづらくても『夫婦別姓は優先順位が低いのでは』『子どもの姓の問題があるため慎重な議論が必要』と発言し、保守層からの反発を回避している議員も少なくありません。なかなか採決に至らないのは、こう言った主張も背景にあるでしょう」

今回もまた、国会の貴重な時間をいたずらに費やすだけの結果になってしまうのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部