ミスコンとしてのキャリアの葛藤「肩書を生かし切らないと……」

神谷さんは、港区の女性だけでなく、同世代の中にも違和感を覚えていたという。

「他大学のミスやミスターたちとバーベキューをしたときに、ノリについていけなくて……。『自分たちは陽キャです!』と一生懸命取りつくろうミス・ミスター東大の子たちもいましたが、私はそういう風にできませんでした。ずっと端っこでウーロン茶を飲んでいましたね。

あと、雑誌の撮影で、他の東大生と関わることもありました。そこで、お金と承認欲求にまみれて、学業がおろそかになってしまう子を何人も見たんです。『この子たちは、何のために東大に来たんだろう? 東大で何をしたいんだろう?』と、冷めた目で見ていました」

スーツ姿で1枚
スーツ姿で1枚

同様の問いは、自分に対しても投げかけた。

「お金をもらって、承認欲求も満たされた。でも何のために生まれてきたんだろう? この延長で生きてきていいのかな? と。でも今更、両方捨てられない。

それは、ミスコンで勝って将来の可能性が広がったばかりに『何かしら、トップティアに行かないと叩かれるんだろうな』という不安があるからです。ミスという肩書を生かし切らないと、という脅迫概念もありました。実は退路も塞がれてたんです」

「若さ」を売りにするミスコン出身者は、大学卒業後にインフルエンサーとしての人気が落ちる、という不安もありそうだ。しかし、神谷さんは「それは全くない」と断言する。

「もともと、積極的に表に出るのは大学時代だけと決めています。今は大学院も修士課程1年目で、修士号を取ったら就職するつもりです。外資系コンサルに興味があって、今年の秋からビジネススクールに留学することにしました」

海外旅行をするのが好きだという
海外旅行をするのが好きだという
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3月3日に放映された、堀江貴文氏がMCの「HORIE ONE」では、2025年9月からパリの名門ビジネススクール「HSC」で学ぶことが公表された。

「周囲からのキャリアへの期待値の高さに、プレッシャーを感じることもあります。でも、期待値が高いことはチャンス。就職後も『ミス東大のくせに仕事できないの?』と言ってくる人はいそうで、つらいですけどね(笑)」

理路整然と、明るくハキハキと話す姿が印象的な神谷さん。きっとピンチもチャンスに変えていくだろう。

#2 に続く

取材・文/綾部まと