コメ不況については「みんな『自分もコメを作ってみようかな』と思えばいい」
大型の農機具を使わず、自分たちの手で行なうという黒柳さんのコメ作りだが、収入のほうはどうなのだろうか?
「以前はコメ作り以外にも大型トラックの運転手などをやっていましたが、今年からやめました。金銭的にはきつくはないけど、計算すると『来年の税金払えるか?』という感じでギリギリの生活ではありますね(笑)
提供している価格は最初から一緒で、20kgで5000円です。基本的には10kgあたり3000円と最初に決めましたが、1000円下げて5000円にしました。
無農薬の農家ではもっと高い値段を付ける人もいますし、ある農家は『東京なら万単位でも売れる』と言ってました。でも払うほうも大変だし、東京に出荷しても僕と縁のない“懐が豊かな人”しか買ってくれません。
それよりも知り合いに売ってさばけてしまったほうがいい。僕のつくったコメで知り合いの皆が『美味しい』といってくれることが、うれしいですからね」
昨今の市場のコメ価格と比べると破格の安値で販売していることに驚かされる。そんな黒柳さんに最近のコメ不況について尋ねると、達観した視点で次のように話した。
「みんな右往左往してるだけで、なんとかなるでしょう。コメが食べられないというのが大変だと思いますが、でもそれも苦労のうちかなと思いますし、みんながそこで気付いて『自分もコメを作ってみようかな』と思ってくれる人が一人でも多くでてきてほしい。
『日曜日だけ、1反だけやってみようかな』とか。空いてる土地はいくらでもあるし、兼業でもできないことはないです。とはいっても自然相手なので、そこには対応していかなければなりません。
今だったら余ってる土地があるから、『やってくれるだけでありがたい』と僕は思います。農家の中には義務感からやってる人もいますし、『自分が引退したあとはどうするか』とみんな悩んでいますからね。
コメの転売などは一部の人間がやってることですよね。『そんなあくどいことするなよ」と思います。みんながまともに食べられて、泣いてる人がいない。そのためにはどうするかもう一度みんな考えないといけないと思います」
※「集英社オンライン」では、今回の記事についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(旧Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班