幼馴染の坂本勇人も成績が急降下

では、実際どの程度の成績が予想されるのか。

「二ケタ(勝利)は厳しいし、よほどうまくいかないと7、8勝も難しいのではないか。特に重要になってくるのがシーズンの最序盤。開幕ローテに入るのであれば、ここでつまずいてしまうとズルズルいってしまう。

若い選手なら学ぶチャンスもあるけれど、田中はあれだけ実績を残しておきながら昨季は0勝。そんなピッチャーがヨーイドンで結果を残せないと、体も気持ちも上がってこない」

長年エースを務めていた菅野智之がメジャーに挑戦したなかで、田中の獲得は今季の巨人を象徴する補強といえなくはない。それだけに、田中のつまずきによって巨人の連覇にも黄信号が灯ることは……?

「それはそこまで関係ないね。抑えにライデル・マルティネスが入ったし、大勢を筆頭にリリーフは去年よりも充実している。菅野もそうだったけど、もちろん田中にも完投を求められてるわけじゃない。5、6イニングで試合を作るなら若手投手でもできるからね。

だから、田中の獲得は余裕がある巨人だからできる補強だったんじゃないかな。田中があと3勝して(日米通算)200勝を達成しても、そんなのチームにとって何の役にも立たないから」

今年の球界もするどい解説で斬りまくる江本孟紀氏 写真/村上庄吾
今年の球界もするどい解説で斬りまくる江本孟紀氏 写真/村上庄吾
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もうひとつ、注目を集めているのが坂本勇人とチームメイトになったこと。田中と坂本は兵庫県伊丹市の少年野球チーム「昆陽里タイガース」でバッテリーを組んでいたのは有名な話だが、今季はそのふたりが同一球団に所属する。

しかし、その坂本も昨季は遊撃手から守備の負担の少ない三塁手に本格的にコンバートしたにもかかわらず、打率、打点、本塁打などがレギュラー定着後の自己ワーストの成績に終わっている。

「野手は年齢によって目と反応に衰えがあるからその影響も考えられる。ただ、坂本は身体的にはまだまだ大丈夫だと思う。ショートは門脇(誠)に譲るかたちになったけど、坂本ががんばることでこういった若手もさらに伸びてくるはず」

田中と坂本、揃って今季復活となれば、巨人の連覇への道はグッと近づくことは間違いなさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部