今春キャンプの一番人気「今年はマー君ですか?」

「やっぱり、マー君を見に来たんですか?」

2月上旬、プロ野球キャンプの取材で宮崎を訪れた際、タクシーの運転手や飲食店の店員から、何度かこんな言葉を投げかけられた。この時期は例年、プロ野球キャンプでにぎわう宮崎。東京から訪れたことを告げると、たいていは「キャンプですか?」と声をかけられる。

広島がリーグ3連覇を成し遂げた頃は「広島ですか?」、ソフトバンクが日本一に輝いた翌年は「今年だとやっぱりソフトバンクですか?」と、地元の声がそのまま、プロ野球界の勢力図を表すと言っても過言ではない。

2025年に関して言えば、宮崎では前年リーグ王者のソフトバンクと巨人がキャンプを開催。当然、世間の注目もこの2球団に集中するはず――。しかし、今年、最も多く聞かれたのは冒頭の「マー君ですか?」だった。

今オフに巨人入りした田中将大 写真/共同通信社
今オフに巨人入りした田中将大 写真/共同通信社
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 実際に巨人のキャンプを訪れても、メディアからの注目は段違い。ブルペン投球だけでなく、ウォーミングアップから一連の練習まで、つねにテレビ、新聞社のカメラが「マー君」を追いかけている。

改めて、「田中将大」というプロ野球選手の注目度の高さを実感した。

2025年、田中将大は楽天を退団。巨人のユニフォームを着て、新たなスタートを切る。日米での実績は改めてここに書くまでもないだろう。36歳となった“レジェンド”は新天地でどんな輝きを示してくれるのか。

キャンプ地でブルペン投球を見たが、実績のあるベテラン投手らしく、一球一球、フォームを確認しながら丁寧にボールを投げていたのが印象的だった。この時点でボールのクオリティ云々を語るレベルではないのは、明らかだ。

ただ、筆者の目には明らかに他の投手とは違う緊張感と、覚悟のようなモノ、独特の雰囲気を感じることができた。それらも踏まえて、今季の田中将大が果たして「復活」を果たせるのか、主観ではなくデータの部分を交えながら考察する。