日本ではMD、海外ではDCC(デジタルコンパクトカセット)
カセットテープや、カセット型のウォークマン、ラジカセの売れ行きが鈍化するなか、MDという新しいパーソナルオーディオに、市場全体が期待していた節もありました。ソニーだけではなく、他のオーディオメーカーやメディアメーカーもMD製品を手掛けていき、レコード会社からはさまざまなアーティストのMDアルバムが多く発売される。
家電ショップやレコードショップではハードもソフトも華やかに展示されるようになり、事実、1990年代の日本で受け入れられていきました。
こういったことからMDは大きなシェアを取った...かのように感じますが、実は海外では、いまいち浸透しなかった。
CD開発においてソニーのよき協力者だったフィリップスは松下電器(現パナソニック)と手を組みDCC(デジタルコンパクトカセット)を展開し、MDとDCCによるシェア争いに発展。VHS vs βのようなプラットフォーム戦争が起き、ヨーロッパ圏ではDCCのほうに人気が集まっていたと聞きます。
またアメリカでは、ラジオをエアチェックして、オリジナルのベスト盤を作るといったチマチマした作業を好まなかった。ゆえにCDでいいし、なんなら(音質は二の次で)CDからダビングしたカセットテープでいい、という流れが主流だったそうですよ。
結果として、DCCは”音質はいいけど高価”かつ”頭出しに時間がかかる”ことからMDに敗れ、1997年には松下電器もMDのグループに入ります。ここからMDが広まるのか!と思った方、これはある意味フラグです。だって1998年には次の大波がやってきたのですから。
そうです。MP3プレーヤー、iPodなどのポータブルオーディオプレーヤーです。
パソコンを使う必要があったため、当初はPC大好きギークのおもちゃというスタンスだったものの、数多くのメーカーが次々と参入、ソニー自身も1999年にメモリースティックウォークマンを発売しています。そして2001年、アップルのiPodが発売されたことで、状況は一変しました。