破産したサロンの顧客も抱え込む

2017年4月に「グロワール・ブリエ東京」と「ミスプレミアム」が破産手続きの開始決定を受けた。その際、日本エステティック経営者会が会員救済を目的とし、RVH傘下のミュゼプラチナムに対して救済措置の提案を行なった。ミュゼはこれを受け入れている。

その内容は、支払済みの既存顧客が受けられるはずだったサービス(合計11億円)に対し、35%を乗じた価格で顧客がそれを購入し、ミュゼプラチナムが役務の提供を続けるというものだった。

脱毛サロンで脱毛する女性(写真はイメージです) 写真/shutterstock
脱毛サロンで脱毛する女性(写真はイメージです) 写真/shutterstock
すべての画像を見る

さらにクレジットカードの信販契約の残債務(合計31億円)に35%を乗じた額の支援金の提供を各信販会社から受け、既存顧客は信販会社に残債務の支払いを継続することで、同じくサービスを提供するというものだ。

こうしてグロワール・ブリエ東京とミスプレミアムの旧契約者はミュゼ全店でサービスが受けられることになり、全国のサロンをフル活用し、既存顧客と新規を含めて収益性を高めようとしたわけだ。

しかし、RVHはコロナ禍が深刻化する前の2020年2月にミュゼプラチナムを、髙野友梨氏が代表を務めるG.Pホールディングに譲渡すると発表し、現在はサロン事業から撤退している。

RVHによるミュゼの買収は悪しざまに言われることも多いが、旧契約者が継続的にサービスを受けられたことや、店舗の大量閉鎖を回避して雇用が守られた点においては見事なものだった。

はたして今のミュゼを救済するスポンサーが現れ、旧契約者や雇用は守られるのか。注目の局面を迎えている。

取材・文/不破聡