社長になっていたこと自体社内でも隠されていた
「社長の言ってることは全く人ごとで、誠意も何も感じません。塾がつぶれたのを最初聞いた時、どう考えていいのか分かりませんでしたが、今は怒りしかありません。今から塾を代えて何かプラスになるとも思えず、これからは自習で受験に臨むしかありません」
1月9日、ニチガクに置いてあった私物を取りに来た高校3年の受験生の男性(18)はそう怒りをあらわにした。1月6日にも荷物を取りに来たが混乱していて受け取れず、受験前に受講もできない塾に2回も足を運ぶことになったという。
「ここでいう『社長』とはテレビ朝日がインタビューを放送した現社長のC氏のことでしょう。今回の事態に『心が痛いってだけですよ』などと話していました」
そう話すニチガク関係者が続ける。
「でも、C氏が『人ごと』のように話していると塾生が怒るのはある意味当然なんです。なぜならC氏は経営経験などなく、実際に会社の破綻処理をしているわけでもありません。Cさんは、会社の登記簿に名前だけ載せられたのだろうと社内の人間はみんな思ってますよ。そもそも、彼が社長になっていたこと自体、社内でも隠されていて、7日に集英社オンラインが報じた記事(♯1)を見て現場の人間は仰天したんです」
1983年に設立された日本学力振興会はホームページで「日本一の予備校密集地帯である西新宿で40年以上の指導実績を誇る」と宣伝してきた。同社を長年率いてきたのが推薦入試のハウツー本も出版したことがあるA氏だ。20年ほど前から同社と付き合いがあるという予備校関係者が話す。
「A氏は創業者にかわいがられて経営を引き継いだと聞きました。業界では“推薦に強い人”という評判が立っていた人物です。学力的にどうかなと思う塾生が東京の私大トップ校に推薦でどんどん受かっていた時期があり、そうした評価が立ったんでしょう」
ところが会社の登記によれば、まず昨年4月1日に代表取締役がA氏からB氏に交代した。
「B氏は古参の営業担当者です。塾の営業というのは、受験期の生徒らの名簿を基に電話をかけまくり勧誘するんです。Bさんはかなりやり手で社内でも実力者でした。気のいいおっちゃんという感じで塾生からも結構人気がありましたよ」(同前)