子どもの旅券の発給に相談に行ったが元夫の同意を求められ…
大使館から行けと言われた警察でも相手にされなかった女性は、翌2023年に元夫と離婚したと報じられている。その後2024年に女性はもう一度大使館を頼っている。
「24年夏くらいにお子様の旅券(パスポート)発給についての相談を受けています。その際には、未成年者の旅券発給には共同親権者である元配偶者の同意が必要であると説明しています。その後(女性からは)お子様の旅券申請は当館にはなされていません」(大使館関係者)
パスポート発給の相談は、子どもを連れて日本へ帰国する道を探っていたと考えられる。
現地では元夫が子どものパスポートを取り上げていたとの報道もあり、子どもの国籍や日本以外の国が子どものパスポートを発行した状態にあったのかなど、詳しいことは分かっていない。
また、日本は離婚した夫婦の一方が子を連れて国際的な移動をすることで起きる紛争への対処を定めた「ハーグ条約」の締約国で、同条約の規定を基に大使館は元夫の同意が必要だと伝えた模様だ。
しかしDV被害を訴え子どもと一緒に逃げたいと考える女性が、加害者である元夫から同意を取り付けることは非現実的だとの指摘が支援者らから上がっている。
こうした声が出ていることに大使館関係者は「今回の事件が発生して以降、大使館としてもご遺族のご支援等には当たっており、ご意向も踏まえつつできる限り丁重なご支援を行なっていきたいと考えています」と答えた。
今回の対応を検証する考えがないかとの質問には「できるだけ丁寧な対応をこころがけていこうと考えています」と答えるにとどめた。
在ハンガリー日本大使館のトップを務める小野日子(ひかりこ)大使は、菅義偉政権下の2021年から内閣広報官を務めたことでも知られている。外務広報官も歴任した小野氏は日本政府のイメージアップ広報の第一人者だ。
大使館のホームページでは事件後も、日本食品の販売促進を小野大使がアピールする華やかなイベントを伝える記事が新たにアップされているが、亡くなった女性への言及はない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班