日本大使館に女性は助けを求めたが…
警察は、元夫が事件当日の朝、2人の子どもを学校に連れて行った後、服を着替えてヘルメットをかぶった姿でマンションに戻り女性を殺害したとみているという。
警察が公開した防犯カメラの映像には、ヘルメットをかぶった元夫とみられる男の姿が映っている。そもそも女性はタバコを吸わなかったとの友人らの証言もあり、警察などが最初に考えた“出火原因”自体が不審なものだった。
これだけおかしな状況があるなかで警察が発生直後に「事件性なし」として片付けようとした姿勢の裏には、女性からのDV被害を放置したことがあるのではないかとの疑念も沸いている。
テレビ朝日は、被害女性の弁護士の話として、女性は2回、警察に元夫からの被害を訴えたが、警察は「これはハンガリーでは犯罪でも何でもない。ばかげている」と取り合わなかったと報道。女性は昨年11月には元夫から「痛みとともにゆっくりと死ねるだろう」と殺害をほのめかすメールまで受け取ったが、その時も警察は対応しなかったという。
離婚した元配偶者からの付きまとい被害の予防で典型的な失敗を犯した警察の対応には現地で強い批判が起きており、パテント協会が8日に開いた追悼集会では当局への抗議の声が上がった。
警察は11日に、「対応は不適切だった」とHPにて謝罪し、幹部ら6人を懲戒処分にした。
しかし、さらに深刻なのは、女性がブダペストにある在ハンガリー日本大使館に助けを求めていたにもかかわらず、悲劇を防げなかったことだ。
同大使館関係者は2月10日、集英社オンラインの電話取材に「2022年6月くらいに当館は(女性から)元配偶者との関係について相談を受けました。『もしDVがあるような場合には警察に相談するのがいい』と説明したと(記録では)なっています」と話した。
その時点で女性が警察に相談していたかどうかは分からないというが、少なくとも女性は、パテント協会に駆け込む前に大使館に救いを求めていたことになる。