総合スーパーにおける衣料品の販売額は8割減少
近年、総合スーパーという業態そのものが苦境に立たされている。
イトーヨーカドーは2023年から2025年にかけて33店舗の閉鎖を決定。北海道や東北、信越地方の店舗を譲渡し、このエリアからは撤退した。
イオンの総合スーパー事業であるイオンリテールは2023年2月期に57億円の営業利益を出し、3期ぶりの黒字転換を果たした。しかし、2024年3-11月は162億円の営業損失。前年同期間と比べて赤字幅を50億円以上広げて今期の黒字化に暗雲が漂いはじめた。
総合スーパーは高度経済成長期の「一億総中流」の申し子のような存在だ。好立地に何でもそろう店舗を出店し、長きにわたって大衆消費社会の受け皿となってきた。
しかし、時代は変化して小売業も専門分化が進んだ。消費者の好みも多様化し、自分の趣味嗜好にあったものを購入するようになっている。
消費者の衣料品の購入場所を調べている伊藤忠グループの調査会社マイボイスコム(「【衣料品の購入に関する調査】」)によると、直近1年間の購入場所を「スーパー」と答えたのは2018年6月が39.7%で、2023年6月は28.6%だった。わずか5年で11ポイントも下がっている。百貨店も19.8%から12.7%に落ちた。
一方、「衣料量販店」は45.1%から44.6%とほとんど変化がない。専門店が並ぶショッピングモールも38.3%から36.5%ほどの小さな変化だ。
総合スーパーは食品売場の集客効果を利用し、衣料品や日用品のついで買いを狙う業態のため、消費者は目的を持って衣料品を購入するようになったとも言えるだろう。総合スーパーは衣料品の落ち込みが特にひどく、ここが苦境の理由のひとつである。
イオンリテールやヨークベニマル、ユニーなどが加盟する日本チェーンストア協会は、1992年から現在までの販売額を公開しているが、1992年の総販売額は15兆2943億円で、2024年は13兆307億円だ。15%ほど低下している。一方、食品の販売額は6兆6565億円から9兆1215億円へと37%増加した。
しかし、衣料品は3兆8727億円から6645億円と、83%も減少しているのだ。日用品や家具などの住関品はやや苦戦しているものの、24%ほどの低下に過ぎない。