「酒鬼薔薇聖斗」の顔写真を掲載した「FOCUS」
このときに話題なったのが、写真週刊誌「FOCUS」が犯人の少年の顔写真を掲載したことです。これは大きな論議を巻き起こしました。
少年法では「家庭裁判所の審判に付された少年犯の氏名、年齢、住所、容貌などが明らかとなる記事や写真を、新聞および出版物に掲載してはならない」とされています。これは雑誌の販売部数を増やすためだけの、あまりにも悪質な出版社の行為だったと思います。
この件で多くの人たちが「FOCUS」の出版元である新潮社に対して抗議をしています。その中には、新潮社で出版したすべての著作の版権を引き上げ、同社と絶縁した作家もいます。灰谷健次郎さんです。たとえ収入が絶たれようとも、自分の信念に反する出版社とは関係を断つと決めたわけです。
テレビニュースではもちろん少年の顔は使えません。しかし何とか映像化したい。そこでカメラマンが狙ったのは、少年が警察車両に乗り込む足元でした。
あるときに裸足にスリッパの少年の足元が一瞬ですが撮影できたのです。その後、この少年を表す映像は、常にこの足元の映像になりました。しかし、顔が見えずに常に足元が出てくるというのは、ある意味、不気味さを増したように感じていました。
この神戸連続児童殺傷事件は、関西で起こった事件でしたが、あまりにもセンセーショナルだったため、常に全国放送で報道されていました。そのため、日本中の人がよく知っている事件だと思います。しかし実は、この事件と同時進行で関西ではある事件が発生し、大々的に報道されていたのです。