「女子のタイツ着用禁止」「マフラー禁止」
「今季最強」と呼ばれる強い寒波が日本列島に襲来している。そんな中、学校に通う子どもたちの保護者を中心に、校則のせいで十分な防寒ができないとの声がSNSに多くあがっている。
「駅で高校生がスカートの下にジャージはいていて、今思うとあれが校則違反なのは意味がわからんな。スカート寒いじゃん。正当な防寒じゃん」
「マフラーやタイツなどの防寒着が禁止されていた」
「中学の校則にダウンジャケット禁止って書いてあってびっくりしたわ。嘘でしょ」
これらの理不尽とも思える校則で、なぜ子どもたちは指導されなければならないのか。校則をめぐる現状について、「ブラック校則をなくそう!」プロジェクトの須永祐慈さんに話を聞いた。
――強い寒波が到来していますが、SNSを見ると防寒に関してさまざまな理不尽な校則があるようです。具体的にどんな事例があるのでしょうか。
須永祐慈さん(以下同) 私たちのプロジェクトに寄せられた事例だと、たとえば「女子のタイツ着用禁止」というものがあります。
生徒が教員に理由を聞いたら、「おしゃれの一環になるから」という回答があったようで、生徒は腹痛などでかなり辛い思いをしたようです。
他には、極端な例ですが、ある公立小学校では教室や廊下で上靴や靴下をはくことを禁じられており、真冬でも裸足で過ごすことが決められているという例もあります。
また、ある公立中学校では、マフラー、レッグウォーマー、スヌード(首に巻く、布の防寒具)が禁止されており、生徒からは40分の通学時間が非常に辛いという声も寄せられています。教員に理由を聞いたら「校則だから」の一言だったとか。
別の公立中学校では、女子はスカートの下にタイツやジャージを着用するのを禁止しており、靴下は長さ15センチ以上で長すぎてもだめ、ルーズソックスは禁止、など細かく決められているという事例もあります。
――SNSでは「ダウンジャケットを着てはだめ」という校則も見ました。
教員たちも「昔からある校則だから仕方ない」という考えなのではないでしょうか。
校則を作った当時の人はもう誰もいないにもかかわらず、そこを壊してしまうことの怖さがある、といろいろな教員が話しています。
「ちょっとでも緩めると生徒たちがつけあがってくるから、縛り付けておかないと統制がとれない」という強迫観念みたいな部分もあるようです。
一方で、児童生徒の命に関わるような理由と背景が説明でき、合理的な判断のうえで成立する校則もあります。
たとえば「通学中のマフラー禁止」という校則が設定された学校がありますが、校則ができた背景を掘り下げていくと、通学中に長いマフラーをしていた女子生徒が、自転車の車輪にマフラーが巻き込まれて事故を起こし、重傷を負ったという経緯がありました。
「今の子どもたちが寒くて辛い思いをするから」というだけで、すべての校則が問題だ、と言ってしまうよりも、学校側に校則について説明できる理由と根拠があるのか、が重要だと思います。