人生をリセットして移住。「仕事を辞め、夫とも離婚しました」
――ゆうこさんは京都大学を卒業しているとのことですが、どうしてカオハガン島に?
ゆうこさん 就職活動をする中で、“世間的によいとされているレール”にただ乗るだけの生き方が、自分には向いていないと気づいたんです。日本社会に馴染めない自分に対し、自信を失っていました。
そんなとき、スタディツアーで訪れたのがカオハガン島でした。この島の子どもたちは、どこから来たのかもわからない私に、無邪気に歩み寄ってきてくれたんです。
その姿を見た瞬間、「愛のあふれる場所だなぁ」と感じ、無意識に涙がこぼれ落ちました。
――実際に移住することを決めたのはなぜですか?
ゆうこさん その後も何度も島を訪れ、卒業論文のテーマにもカオハガン島を選びました。調べれば調べるほど、「これは実際に住まないとわからない!」と感じるようになり、「島に住まわせてほしい」と崎山さんにお願いしたんです。宿泊施設の運営をすることを条件に快諾してもらい、移住しました。
ただ、最初は両親に反対されましたね。でも、島で子どもが産まれたあと、日本で両親に会わせたとき、健全に育っていると思って安心してくれたんです。初対面の人にも怖がらない子どもの姿を見て、なぜ私が島で子育てをしたいのか、両親にも伝わったのだと思います。
――よしえさんは、どうしてカオハガン島に?
よしえさん もともと神戸のハンドメイド雑貨店で働いていたのですが、ある日「カオハガンキルト」という商品に出会いました。それがカオハガン島の女性たちの手仕事によるものだと知り、興味を持って島を訪れました。
実際に来てみると、言葉では表現できないほど心が温まる場所だと感じ、この島が大好きになったんです。
その後も何度か島を訪れましたが、日本では仕事に追われ、慌ただしい日々を過ごしていました。そんなとき、日本で崎山さんと会う機会があり、自分の想いを正直に伝えたら、「それなら島に住んでいいよ」と許可をもらえました。
それから1カ月後、それまでの人生をすべてリセットし、新しい自分として島に移住しました。
――リセット、と言いますと?
当時、日本ではヨガ教室を運営していて、結婚もしていました。でも、「絶対に移住する!」という強い思いがあったので、すぐにヨガ教室を閉め、夫とも離婚しました。
夫のことは尊敬していたし、決して嫌いになったわけではなくて。夫も「日本で待っているよ」と言ってくれましたが、もし結婚したままだったら、夫のことが気になって、島での暮らしに集中できないんじゃないかと考えたんです。
夫は最初驚いていましたが、最終的には理解してくれて、「島での生活を応援する」と言ってくれました。