「オスプレイ」「グローバルホーク」の二の舞を不安視する声
政府は2018年に「防衛計画の大綱」を改定する際、IAMDへの参加を検討したが、憲法上の問題が浮上するとして見合わせたいきさつがある。
ところが、その4年後の22年に前記大綱を改定した安保関連3文書では中国や北朝鮮、ロシアの脅威を大義名分にして「敵基地攻撃能力の保有」を閣議決定し、「我が国の反撃(敵基地攻撃)能力については、情報収集を含め、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築する」(国家防衛戦略) とした。
日米共同の協力態勢を構築するには日米一体化を進めるしかない。岸田前首相は24年4月に米国であった首脳会談でバイデン大統領と「指揮統制の連携強化」で合意した。
帰国後の国会で「米国の言いなりになるのか」と野党から追及を受けた岸田前首相は「自衛隊のすべての活動は主権国家たる我が国の主体的判断のもと、憲法、国内法令に従って行われる。自衛隊と米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動する。これらに何ら変更はない」(24年4月18日衆院本会議)と釈明した。
だが、現実に「指揮統制の連携強化」をするには情報力、攻撃力とも圧倒的に勝る米軍の言いなりにならざるを得ない。連携を強化すれば、岸田前首相が答弁した「主権国家たる我が国の主体的判断」は失われ、「憲法、国内法令」は無視される。つまり、憲法は空文化し、安全保障政策は米国に乗っ取られ、自衛隊と米軍は完全に一体化することになる。
憲法も安全保障政策も異なる日本と米国が「米国に飲み込まれる形」になって、よいはずかない。その一方で、日米が連携しなければ衛星群の維持はコスト面、技術面で困難を極める。深刻なジレンマである。
拙速に日米連携を進めれば、米国に便利に使われるおそれも出てくる。米政府は当然、費用の分担を求めてくるだろう。日米で折半しても日本側の負担は毎年1800億円にもなる。
振り返れば、事故続きで開発した米国以外、日本しか購入していない垂直離着陸輸送機「オスプレイ」や米空軍が「中国の脅威に対抗できない」としてお払い箱にした滞空型無人機「グローバルホーク」など、日本はアメリカからガラクタ兵器の「爆買い」を求められ、何度も煮え湯を飲まされてきた。
米国の罠にはまり、ふたたび煮え湯を飲まされることはないのか、衛星コンステレーションをめぐる日米連携について、熟慮が求められる。
文/半田滋