「竹内さんの事があったばかりで、連絡に驚きました」

県警は、告発主が告発状を提出してから3か月の時間を置いて受理を表明した。

告発人のひとりで、竹内氏の訃報が伝えられた翌日の1月20日に受理するとの連絡を受けた「市民オンブズ尼崎」世話人の田中淳司・尼崎市議は、「竹内さんのことがあったばかりで、この連絡が来たことに驚きました。21日に県警側と会った際には捜査への熱意を感じました」と話した。

2024年8月30日、兵庫県議会百条委で斎藤元彦知事を尋問する竹内英明県議 (撮影/集英社オンライン)
2024年8月30日、兵庫県議会百条委で斎藤元彦知事を尋問する竹内英明県議 (撮影/集英社オンライン)
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2023年11月23日に行なわれた、優勝記念パレードは、中心となった大阪府と兵庫県が公費を使わずクラウドファンディングで費用を賄うと発表した。

しかしクラファンは不発で、斎藤知事は開催前日、目標の5億円に対し約9300万円しか集まっていないと明らかにする一方、企業協賛金は4億円強集まる見込みだと説明していた。

「終わってみるとパレードの会計は人件費高騰などで約6億5300万円にまでなりました。うち企業や団体からは約5億3100万円の協賛金・寄付金が集まりましたが、クラファンの大失敗と経費高騰分を補うため、パレード後も協賛金集めが続きました。兵庫県で金策の中心になったのが当時副知事だった片山安孝氏(昨年7月に辞職)でした」(県議会関係者)

片山氏はパレード2日前の11月21日、県内にあるT信金の理事長を訪ね、信金各行の寄付の取りまとめを依頼している。県信用保証協会の理事長を経験した片山氏は金融機関に太いパイプを持っていた。この訪問を機にT信金はじめ11行が50~300万円ずつ、計2000万円を寄付している。

2023年11月23日に行なわれた阪神・オリックス優勝記念パレード(斎藤元彦知事のXより)
2023年11月23日に行なわれた阪神・オリックス優勝記念パレード(斎藤元彦知事のXより)

県関係者は「このうち9行はパレード終了後に協賛金を出すと県に伝えています。宣伝もできないのになぜそんな支出をするのか。信金に損害を与える背任ともとられかねないのに」と述べ、不自然さを指摘する。

ここで浮かんだのが「協賛金を出せば見返りに補助金をつける」との約束を県側が伝えていたのではないか、との疑念だった。

「コロナ対策の一つに金融機関による無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)制度があります。県はこの制度に基づき金融機関が相談に乗るなどの支援を行なえば1件当たり最高10万円の補助金を金融機関に出す制度を運用してきました。

2023年秋の補正予算で県の担当者は、この制度の予算を総額1億円と見込んでいました。ところがこれが斎藤、片山両氏の指示で4億円に増額されたのです」(県関係者)

この増額の経緯については担当者のメモが残されている。

「ふつうは残らない記録です。増額の経緯に不審を持つ担当者が、問題となるのではないかと憂慮して作成したのではないかとも言われています」(県関係者)

メモや関係者の証言によると、一昨年11月中旬に片山副知事が1億円について、「これじゃ足りん。4億にせえ」と指示。

これを受けた担当課が算定根拠を変えて要求額を3億7500万円に増額したが、今度は斎藤知事がパレード2日前に「全体をまるく4億円程度で」計上しろと求めていた。