「信金理事長が、片山氏の主張と違うことを証言した」
片山氏は斎藤氏の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委)で、「財政当局にはコロナの関係で非常に重要な事業やから、財源が確保できたら目一杯やるほうがいいやろうと指示をしました。財政課から『確保できました』と報告があったので、それならば大きいほうの数字、つまり4億円ぐらいになるように予算要求を財源に合う形で組んだほうが産業振興になるやろという指示をした」と証言している。
一方、斎藤氏も記者会見で、4億円への増額指示を認め、「補正予算はキリの良い数字で予算をつけるほうが打ち出しとしてははっきりする」と理由を説明している。
だが、片山氏がいう確保できた予算の原資は国費だ。
「億単位の支出増額がこれほど簡単にできたのは、ゼロゼロ融資に絡む事業の原資には国の臨時交付金を充てるからです。県の財政には痛くもかゆくもないのです」(県議)
これまで斎藤、片山両氏も、T信金理事長も、協賛金と引き換えに補助金増額の約束があったことは否定している。
「もし約束が確認されれば、斎藤氏らは今回の告発容疑である、県に損害を与えたという背任罪になります」(在阪記者)
こうしたなか、片山氏の証言が注目されている。
片山氏は昨年9月6日の百条委での証人尋問で、T信金理事長に2000万円を明示して取りまとめを頼んだのではないかと質され「具体の額は言っていません」と否定している。
「しかし10月24日の百条委でT信金理事長が、片山氏の主張と違うことを証言したのです」(社会部記者)
この日の百条委は非公開で行なわれた。関係者のメモによるとT信金理事長は、
「金額を(片山氏が)おっしゃいませんでしたので、いくらくらいしたらいいんですかと(聞きました)。見当がとれなかったら我々もしにくいし。1000万ですか、2000万ですかな、と言うたら(片山氏は)『2000万円いただいたらありがたいんですけど』とおっしゃいました」
と、片山氏が2000万という希望額を挙げたと証言している。
この矛盾を指摘された片山氏は、10月25日の百条委で、「目安としてですね、1信金100万円とすれば1100万円、200万円とすれば2200万円、この2つの数字の間ぐらいでしょうかねって言うたような記憶が残っております」と発言を修正した。