「世襲」、自民からの寝返りに党内から冷ややかな声も 

さらに、県外の立憲関係者からも、立憲が展開する世襲批判との整合性や、もともと自民の公募に応じていた人物の推薦を疑問視する声が上がっている。

野田佳彦代表はこれまで繰り返し世襲に否定的な考えを示してきた。

昨年10月の衆院代表質問では「政界への人材供給ルートが固定化されており、風穴をあけていく必要がある。それは世襲制限だ」と述べるなど、自民の世襲議員の多さを批判してきた。

朋実氏の推薦について大串博志選挙対策委員長は「野党系で出るので、地盤・看板・カバンを引き継ぐ関係にはまったくない」と強調し、問題ないとの考えを示したが、野田氏らの主張との整合性が問われている。

大串博志選挙対策委員長(立憲民主党HPより)
大串博志選挙対策委員長(立憲民主党HPより)

また、朋実が昨年の自民の公募に応じておきながら、今年1月に立憲に入党したという経緯にも疑問の声が出ている。

2012年に民主党が下野してからは、自民一強体制が続き、野党議員が自民入りするケースが各地で頻発。

2023年には、立憲民主党の候補者として衆院岐阜5区で活動していた今井瑠々氏が自民党の推薦を得て岐阜県議に当選。

立憲の泉健太代表(当時)は「政治家として不適格。信念はなかったのか」と厳しく批判していたが、今回の件は自民から立憲への「寝返り」となる。

岐阜県知事選挙の候補者の応援に駆けつけた今井瑠々氏(写真右、本人Facebookより)
岐阜県知事選挙の候補者の応援に駆けつけた今井瑠々氏(写真右、本人Facebookより)
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とある立憲議員は「自民から立憲への移籍があったこと自体は、自民に逆風が吹いていることの表れなのだろうが、だからといって『なんでもあり』で世襲やまったく違う政党への移籍を認めるような姿勢では、有権者に足下を見られてしまう」とため息をつく。

裏金問題をめぐり自民への逆風は続くが、一方の立憲も政党支持率で国民民主に負けるなど、埋没気味。

夏の参院選を見据え、「なんでもあり」作戦が吉と出るか、凶と出るか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班