生理的な嫌悪感を覚えるまでには至らなかった
「大学に入ってすぐ、塾講師のバイトをしてました。でも時間のわりに給料が合わないって思ってたんです。それでワリのいいバイトをネットで探したら、ガールズバーがあって面接に行きました。そうしたら『ガールズバーじゃなく、こっちがある』ってピンサロでの仕事を切り出されて、断りきれなくて……」
うす暗い店内にボックス席が並び、コスプレで客を迎えると、やがて全裸になって全身を触られながら、最終的には口を使って客を射精させるという仕事。彼女はそこで8か月ほど働いたという。
「もともとそこまで三次元の男の人に興味がなかったので、機械的にこなしてました。さすがに最初は口でやって、こんな感じなんだって複雑な気持ちで一晩中考えたりもしたんですけど、自分のカラダを触られるのはそこまで嫌じゃなかったし、給料が他のバイトより良かったんで続けてました」
恋愛感情を伴う生身の男性との関係にこだわりがなかったからこそ、流れ作業のように仕事をこなせたのかもしれない。その仕事は、5、6時間の勤務で1日2万円にはなった。
「与えられた仕事を忠実にこなそうとしか考えてなかったですね。店でのプレイでアソコへの〝指入れ〟があったんですけど、ほとんど痛いばかりでした。異物感、違和感しかなかった……」
だがそれでも、生理的な嫌悪感を覚えるまでには至らないため、〝作業〟に対する対価として受け入れられたのだ。ピンサロでの仕事は、間もなく大学2年という時期まで続く。
「お店のことが取り上げられたネットの掲示板では、私について『処女なんですよ』と書かれてました。それに興味を持ってやってくるお客さんもいたんですけど、私としてはウリにしているつもりはなかったですね。お客さんには全身をいろいろ触られましたけど、それで気持ちよくなるということも、ほとんどありませんでした」
ピンサロで働く時間について、同居する母親には塾講師のバイトを続けていると話していた。そんな彼女が店を辞めるきっかけは、「シフトを増やすように強要され、学校の授業と両立できないから」という、極めて単純な理由だった。
カネ目当ての仕事ではあったが、それで得た収入は、さほど高いものではないアニメキャラのグッズや洋服を購入するくらいで、余った分は貯金していたそうだ。
「一度だけ、30万円くらいかけて全身脱毛をしました。前から毛深いことがコンプレックスだったんで……」