「ジェンダー平等なくして日本の未来はない」

中野区の区議会議員に陳情のアポイントを取ろうとした際、「代表がどこのだれかわからない団体の陳情は受けられない」と言われたことから、顔・名前出しで活動することを決意した井田さん。

もちろん家族や職場に相談し、了承を得ている。

「夫も子どもたちもやめろとは言いませんし、子どもたちはときどき陳情を手伝ってくれたりもするのですが、基本的には『なんでママがそこまで一生懸命になってるの?』というスタンス。

多くの人のように、『いつか誰かが変えてくれる』と思っているんです。でも、彼らの世代にまで望まない改姓を引き継がないことは、私の役目だと考えています。

やっぱり苦痛を当事者が語り、働きかけなければ、不平等は終わらないと思います」

2024年10月16日、国連女性差別撤廃委員会の委員との公式日程を終えてメディアインタビューを受ける井田さん
2024年10月16日、国連女性差別撤廃委員会の委員との公式日程を終えてメディアインタビューを受ける井田さん

2023年には「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局を、誰もが息苦しさを感じずに自分らしく暮らせるジェンダー平等社会の実現を掲げ、一般社団法人「あすには」として法人化。

内閣府男女共同参画局の2024年6月発表のデータによれば、世界経済フォーラム(WEF)が発表した2024年のジェンダーギャップ指数は、日本は146か国中118位と先進国で最低だ。

「日本は女性差別撤廃条約(CEDAW)の批准国でありながら、選択的夫婦別姓が実現していないんです。日本はこのままだと“多様性を認めない国”として国際社会から白い目で見られることは避けられません。サステナビリティの流れから取り残されていくでしょう」

井田さんをはじめとする一般社団法人「あすには」は、2025年までの選択的夫婦別姓の法制化を目指している。