「子どもを産みたくない」が「子ども嫌いの冷たい女」に変換されるのはおかしいのでは? 「子どもが好き」という言葉が持つ好意的イメージの不思議
「子供を望まない女性にとっての生理は、出荷するものがないのに工場を稼働しなければならず、光熱費と人件費と賃料を毎月支払っているようなもの」とは、30代女性から圧倒的な支持をされているコラムニスト月岡ツキさんの言葉だ。「産む」「産まない」は個人の自由であるはずだが、「産まない」ことを選んだ女性に対する社会の風当たりはいまだ冷たい。
書籍『産む気もないのに生理かよ!』より一部を抜粋・再構成し、「子ども好き」という言葉に潜む違和感について、作者の見解を紹介する。
産む気もないのに生理かよ! #1
子供嫌いの冷たい女というレッテル
ここまで「大人と子供にも相性があり、馬が合わない者同士もいるため、一概に『子供が好き』とは言えない」「子供は素直で純粋というのは大人の勝手な考えである」「子供とかかわることが得意でも、子供を産み育てたいかどうかは別問題」と書いてきた。
一般的に、子供を持とうとしない人に対して「子供を欲しがらないということは、子供が好きじゃないのか」「子供は素直でかわいくて、子供とかかわるのは楽しいことなのに」という説教(説得?)の仕方があるが、ここまでの内容から分かる通り、私はこの手の説教はセンテンスの端から端までかなりトンチンカンだと思っている。
「子供が嫌いだからかかわりたくない、だから産み育てたくもない」という人だって一定数いると思うが、そうじゃないけど産み育てたいと思えない人だってたくさんいるのである。
特に女は「子供を産み育てたくない」と言った途端に、「子供嫌いの冷たい女。子供という素直で純粋な存在をいいと思えない薄情者」というレッテルをうっすら貼られるのが、本当に腹立たしい。「子供は野球チームがつくれるくらい欲しいなあ」なんて言いながら、DVや不倫をする薄情男だってたくさんいるのに……。
「子供を産み育てる願望」の有無だけでは人間の情の深さなど測れないということを、私は声を大にして言っていきたい。
イラスト/書籍『産む気もないのに生理かよ!』より
写真/shutterstock
2024/12/5
1,760円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4868010463
20万部超ベストセラー
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者三宅香帆さん推薦!
あなたの人生は、あなただけのものだ。
社会や親や誰かのものじゃなくて。
月岡さんの言葉は、あなたの孤独な選択を、
きっと優しく照らしてくれる。
30代から圧倒的支持! ポッドキャスト『となりの芝生はソーブルー』の話し手であり、DINKs(仮)のつっきーこと月岡ツキによる初の著書。
「母になりたい」とは思えない。
でも、「母にならない」と
ファイナルアンサーもできない。
どうして産みたいと思えないのか、どうして産みたくないと言い切れないのか。自分の身体、自分を産んだ母、母になった友達、生きてきた世界、いま生きている社会。さまざまな側面から「産む産まない問題」を綴ったエッセイ集。