半径約150メートルにわたってガラス片や建材などが飛散

「年内復旧はとうてい無理ですね」

住民らが恨めしそうに見上げるマンションには足場が組まれ、腰に工具袋をぶら下げたヘルメット姿の職人たちが10人以上、忙しそうに行き来を繰り返している。
爆発した3階の一室と上下左右の周辺の部屋のバルコニーには板が張られ、年の瀬も近いのにまだ窓も入っていなかった。

爆発したマンションの当時の現場
爆発したマンションの当時の現場
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この日に「事件」を起こしたのは3階の住人の中国籍の会社員、「温泉」という名前の44歳の男だ。自ら命を絶とうとガス栓を開けて自室にガスを充満させた状態でタバコに火をつけて爆発、搬送先の病院で警察官相手に大暴れして公務執行妨害容疑で現行犯逮捕され、8月8日に激発物破裂の疑いで再逮捕された。

この爆発の威力は凄まじかった。半径約150メートルにわたってガラス片や建材などが飛散し、本人のほか通行人ら8人が軽傷を負い、周辺の建物19棟と車37台に被害が及んだ。

当初は「テロではないか」と疑われたほどの爆発を起こしたお騒がせ男は、県警の調べにも妄想めいた供述を繰り返した。そのため、さいたま地検は刑事責任能力の有無を調べるため8月22日から鑑定留置を開始、まだ起訴されずにいる。

爆発現場で確認する捜査員
爆発現場で確認する捜査員

 「鑑定留置は通常3ヶ月ですが、延長したようです。妄想癖があって話がまともにできないとか、そんな感じだったと聞いてます。自死の願望があって当日も死のうとしたけど思い悩んで、それでタバコに火をつけたようです」(社会部記者)