被害者や遺族に対して「生きていて申し訳ない気持ち」

ーー改めて今、教団が起こしたことや被害者の方に思うことはありますか?

言葉にならないというのが正直なところです。あまりにも大きな事件で、悲しい、つらい気持ちになります。実際に被害者の方にお会いしたりすると、自分が生きていて申し訳ない気持ちになります。

ーー被害者の方ともお会いされたんですか?

被害者やご遺族にお会いしたことがあります。普通は謝罪すると思うんですけど、私は実感も湧かないし、やっていないし、私と同じように加害者家族になってしまった子どもたちにそれを負わせたくないと思うから、自分は謝れないし……。でも、すごくつらい気持ちになります。

「死刑がなくなってほしい。誰にもこんな経験をしてほしくない」“麻原彰晃の娘”が語る、オウム真理教の教祖を父にもつということ【2024 インタビュー記事 7位】_2

ーー被害者やご遺族の方は、麗華さんのことをどう捉えているんですか?

それぞれだと思うんですけど、(松本サリン事件の被害者である)河野義行さんは「あなたは何もしていないんだから堂々と生きてください」とはっきりおっしゃってくださって……。それがまた申し訳なくなっちゃって、胸が痛くなりますよね。

ーー2018年にお父さんが死刑執行されたとき、どう思いましたか。

まず腰を抜かして、体ががくがく震えました。父は病気なので執行されるわけないと思っていたので信じられなかったです。

ーー麗華さんはそのとき、ものすごい精神的に不安定になったんですよね。

(たかまつ)ななちゃんが「頑張って生きてください」って言ってくれたけど、「頑張れない」とかって言って、長い時間、電話しましたね。

ーー本当に心配でした。死にたいってずっと言っていたし。

国に執行されたというのが大きかったんです。日本では死刑に賛成している人が多いと言われるじゃないですか。街行く人に、「あなたも賛成ですか?」「私の父が死んでうれしいですか?」って。みんなが賛成しているのだと考えたらすごく怖くなっちゃった。オウム事件の執行が終わったら死刑がなくなるんじゃないかって噂があったけど、それでもいいから死刑がなくなってほしい、誰にもこんな経験をしてほしくないと思いました。