日本の芸人って年をとっていくと…

ーー12月20日には日本で久々の単独ライブが行なわれます。なぜ今回、日本でライブをしようと思ったのですか?

今年『アイアム・ア・コメディアン』という僕のドキュメンタリー映画が公開されて、それがきっかけで僕のことを知ってくれる人が増えたこともあって、まだアメリカに行って1年弱だけど、ちょっと大きいとこでライブをやろうかと。

それで11月半ばにいったん帰ってきて、日本でツアーをしたりもして。また違う新鮮な感覚で全国を回って、ネタを仕上げていきたいなと思って。渡米したことで、新たに感じたことを言葉にできたらいいなと。

「これは差別なのか、それとも…」ウーマン村本大輔がニューヨークの舞台で自分の拙い発音をマネされて考えたこと_2
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――タイトル「Call me the GOAT」はどういう意味ですか?

GOATは、Greatest Of All Time”(史上最高)の頭文字を取ったスラングです。今日が最高。今、44歳の自分が一番仕上がってると。年々、自分が落ちていないということの確認がしたくてこのタイトルにしました。

――実際、相当仕上がってますか?

11月に帰国して初めてライブしたときに、アメリカから帰ってきた俺の、キレッキレのやつをみんな待ってるんやろうなと思ってたけど、正直、アメリカではずっと英語でネタ作ってたこともあって日本語の新ネタもあまりない。

さらに脳も日本にうまく切り替わってない感じもあって、少し迷いながらやってたら、ネタ中にお客さんから「今日キレ悪いぞ!」って野次が飛んできて(苦笑)。続けて「女でもできたんか!」って。

その野次を飛ばされてから、自分の中で開き直ったというか、自由になって。そこから自分の言いたいことだけを言うモードに切り替わったら、すごくウケたりもして。そんなわけで帰国後は、泣いて帰る日もあるかと思えば、キレッキレの夜もあって、その差がすごく激しい。だから次のライブもどうなるかは僕もわからんよね。

――12月20日のライブに来るお客さんに一言お願いします。

アメリカのコメディアンって年をとるごとに面白くなっていってる感じがあって。でも、日本の芸人って、年とっていくと、昔、面白かった人が、いつの間にかオチのない政治の話をダラダラしたり、ユーチューブで家族と遊んでたりして…数字になればなんでもいいんかっていうか、お笑いちゃうやんって。

被災地に行ったときにラーメン屋さんがラーメンをつくり、自衛隊の人が仮設の風呂をつくったりしてる中、お笑い芸人が炊き出しやってるのを見ると、「お前は笑いつくれるやろ」って思うんです。

僕は、笑いっていうのは、衣食住と同じくらい必要なものだと思ってるし、だからこそ自分は最後までコメディアンでありたい。

今の時代、ユーチューブとか、その場だけでクスッと笑える短い動画があふれてるけど、そういうものとは違う”代わりが利かない笑い”、普遍的で、俺にしかできない笑いを次のライブにもっていこうと思っています。

取材・文/金愛香

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ウーマンラッシュアワー村本大輔、渡米後初となるトークライブ「Call me the GOAT at ニッショーホール」

詳細はこちらhttps://live.yoshimoto.co.jp/live/live-14706/

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