日本は激安! 世界各国のビッグマックの価格

イギリスの経済誌による指標で、マクロ経済学の世界でも割とメジャーな指標として、マクロ経済学の教科書にも掲載されているビックマック指数。マクドナルドで販売されているビッグマックを例にとり、世界各国の購買力の比較と、適正な為替レートを示す指標として使用されている。

2024年1月の時点で、日本のビッグマックの価格は3.04米ドルとなっていた。他方、韓国4.11ドル、タイ3.78ドル、中国3.47ドル、EUの中で最も貧しい国の一つとして知られるルーマニアが3.42ドルと、日本は先進国の中では下位に属している。

2024年7月時点でも、日本のビッグマックの価格は480円(一部地域を除く)で、3.19ドル。1位のスイスは8.07ドルで、日本円に換算すると1214円だ。

スイス・チューリッヒのマクドナルド(画像/Shutterstock)
スイス・チューリッヒのマクドナルド(画像/Shutterstock)

日本では現在、「カレーライス物価指数」が示すように物価が上昇し、飲食チェーンでも軒並み値上げが行なわれている。それなのに世界的に見れば、貧困国とも言われるほどの立ち位置となってしまっている。

「貧困化が進んだ原因は、やはり前述の1997年からのデフレ経済にあります。21世紀に入ってからの日本の年平均インフレ率は0.36%と、全世界で最下位。他の先進国ですと、アメリカは2.53%、イギリスは2.60%、ドイツは2.07%、比較的低いフランスでも1.91%と、年率2%程度は上昇しています」

これが20年間積み重なると、年平均2.5%で1.63倍、年平均2%でも1.48倍にもなる。そう考えると、2001年当時に、日本円にして仮に400円だったビックマックの価格が、20年後の2021年には600円~700円になるのは、実はごくごく当たり前な経済現象なのだという。

2001年~2023年の23年間の年平均インフレ率(池戸万作氏作成)
2001年~2023年の23年間の年平均インフレ率(池戸万作氏作成)

「この25年間、物価がほとんど上がらないデフレ経済の日本の方が異常であって、今の日本は、やっと“正常な”経済状態に戻りつつあると考えるべきではないかと私は思います。異常なデフレ状態が正常だと慣れ切ってしまったから、正常なインフレ状態が、あたかも異常現象のように、今の日本人には感じてしまうのだと思います」