1000万円で越前がにを出張料理してくれる
実は、3位以下は牛1頭の返礼品が連続するため特筆すべき返礼品はなかったが、しばらく見ていくと、珍しい出張料理サービスの高額返礼品が出てきた。
福井県福井市が提供しているのは「越前がにフルコース」300万円相当を含む出張料理サービスだ。料理人が来て、ズワイガニを中心としたフルコースを提供する。20~50人分まで対応、事前に要望を聞きながらコースの内容を決めてくれるという。名店「越前かに成前」の田畑健太郎氏が料理を振舞う。
寄付金額は1000万円である。
「福井はズワイガニのブランド、越前がにで有名です。越前がにを知ってもらいたく、今回の返礼品を始めました。そして、コースを提供する『成前』は、越前ガニを返礼品としている市内の蟹料理店では、トップクラスの名店です」(福井市担当者)
「成前」は事業としてたびたび都内へ出張料理をすることがあり、本返礼品の着想に至ったようだ。出張料理には某芸能人も舌鼓をうったという。米沢牛1頭とうなぎ3000尾は寄付者ゼロだったが、越前がにはどうか。
「自宅や企業でのパーティー用を想定しておりましたが、今のところ残念ですが申込者はゼロで、詳細を知りたいという方からの問い合わせもありません……。なので、今後に期待しています! また、ここまで高額でなくても、市では越前がにの返礼品を用意していますので、ぜひ」(同前)
市が用意する越前がにの返礼品は、高品質であるため寄付金額5万円以上の物が多く、ややハードルは高い。そのためか、申込数で一番人気の返礼品は寄付金額8000円の「羽二重バターチーズサンド」だという。福井の銘菓・羽二重餅から派生したお菓子である。
こちらも美味しそうである。
寄付できるのは億単位の収入の人
ふるさと納税は、「選んだ自治体に寄付すると、寄付金額の2,000円を超える部分について、所得税と住民税が控除されたり、還付を受けられたりする制度」である。寄付の見返りとして返礼品を得られる仕組みだ。
控除上限額は収入によって決まっており、総務省HPによると、目安としては年収500万円で独身なら上限額は約6万円となる。
2250万、2000万、1000万円の返礼品を見てきたが、ここまで控除を活用できる人はごく一部である。逆算すると控除上限額が2250万円もあるのは、給与収入なら年収約5億円の人だ。寄付できるのはどこかのオーナー経営者などだろう。社員の景気づけに寄付してみてはいかがだろうか。
取材・文/山口 伸