鬼畜夫妻、犯行の経緯
次女を毒殺した事件で警視庁に殺人容疑で逮捕されたのは、東京都台東区で「浅草ホテル旅籠」などを経営する「ホソヤ産業」代表取締役の細谷健一(43)と志保(38)夫妻。
容疑事実は2023年3月、当時4歳だった次女の美輝ちゃんに不凍液(エチレングリコール)や向精神薬を摂取させて中毒死させたというもの。
発生から1年近く経っての強制捜査着手は警視庁の慎重な姿勢を感じさせたが、それもそのはず。健一容疑者の両親と姉の3人が2018年にそろって薬物中毒死とみられる不審死を遂げていたからである。
同年1月18日に母親の八恵子さん(当時68歳)が入院先で死亡、5月2日に姉の美奈子さん(同41歳)が自宅で死んでいるのが見つかり、6月5日、前年から体調を崩し入退院を繰り返していた父の勇さん(同73歳)が病院で亡くなった。
美輝ちゃん事件を入り口に内偵捜査を進めていた警視庁は今年3月に美奈子さん殺害容疑で2人を再逮捕、東京地検は3ヶ月の鑑定留置を経て9月に起訴。
そして健一・志保の両被告を警視庁は勇さん殺害容疑で再逮捕(10月25日)、八恵子さん殺害容疑で再逮捕(11月22日)するなど立件を重ねた。
集英社オンラインはこれまで10回にわたってこの事件を詳報してきた。父の勇さんは千葉県東金市から若くして上京、浅草の地場産業の皮革加工業で頭角を現して独立、「ホソヤ産業」を立ち上げて一代で財を成した名士だ。
八恵子さんとの間に美奈子さんら2女、末っ子で初めての男の子である健一被告を授かり、「跡取り」として大事に育てたが、ボンボンは期待通りに育たなかった。
客として入れ上げた志保被告と駆け落ち同然で結婚、父親から「期待外れ」とさじを投げられ、金遣いの荒さから「ケンちゃんにはお金を任せられない」と姉の信頼も失った中年男。
夫妻を鬼畜の所業へと駆り立てた動機は、公判が始まれば自ずと明らかになるだろう。