お局様のいじめをきっかけにパニック発作になる
順調だった社会人生活が崩れたのは、3社目の転職先でのことだった。
私立の中高一貫校の事務員として、契約社員で働いたのがきっかけだった。周囲には、40~50代の年配者しかおらず、当時28歳のかっしーさんは若手だった。
「事務の社員や先生方も含め、周りはその学校のOBやOGだらけでした。OB・OG間だけで通じる言葉があり、分からないと、“そんなことも分からないの?” と馬鹿にされました」
馴染もうと努力したが、当時40代前半の “お局様” のいじめが始まった。
「若いお嬢さんは仕事ができなくても、笑っていれば、周りのおじ様たちが許してくれるからいいわよね」と仕事とは関係のない嫌味が続く日々に、かっしーさんは心のバランスを崩していった。
「仕事ができないことに対する指摘ならば、言われないように頑張ればいい。仕事以外の部分で言われる嫌味がつらかったです。
私が、そのお局様に名前を呼ばれたことはなく、いつも “お嬢さん” と呼ばれていました」
車通勤だったかっしーさんは、ある日、渋滞の中で、吐き気と動悸に襲われる。初めてのパニック発作だった。
「“何だ、これ?” と驚きました。だけど、渋滞にはまっていて、休めるスペースに移動できませんでした。さらに職場に着いたら、お局様に嫌味を言われ、その日は泣きながら帰宅しました」
後日、心療内科で「自律神経失調症」と診断され、安定剤が処方されただけだった。
かっしーさんは、通勤の時に、毎朝、吐き気に襲われるようになる。
職場の年配者に、自律神経失調症に対する理解はなかった。
1か月は頑張ったものの、「契約期間が残っているのにどうしてくれるんだ!」と責められ、契約満了前に自主退社することになる。
その後、年金事務所の契約社員として復職するも、通勤電車の中でパニック発作が出るようになる。
「今でも電車は苦手で、なるべく乗らないようにしています」というかっしーさん。
30代後半で、無職になったかっしーさんは、すでに母と離婚し、90代の祖母と2人暮らしをしていた父を頼って、実家に戻った。
祖母は7~8年前に92歳で亡くなり、5年ほど前に72歳の父も亡くなった。
彼氏と暮らしている母には頼れず、2人の兄と遺産を分け合い、かっしーさんは古い実家に1人暮らしをすることになった。