財源確保が支援継続の課題
こうした活動を継続するには、財源の確保が大きな課題だ。不登校支援には人件費、場所代、備品代が必要で、支援環境を維持するには安定した財源が欠かせない。ゆるクラは現在、費用を一切かけない形で運営しているという。
「ゆるクラは、昨年の9月のローンチ後最初の1年をトライアル期間として定めたため、なんとか収益がなくても継続することができました。協力してくれた方々は、会社員、学生、他団体の運営者など、それぞれの立場で時間的制約があるなかで参加してくれました。しかし、現在のように財源を持たないまま継続するのは難しいでしょう」
人手不足のため、新規募集も停止している状態だという。岡村さんによれば、支援に携わるスタッフは本業や学業、アルバイトなどで参加できない日もあるが、ゆるクラが人件費をまかなうことで支援活動により専念できる可能性もあるという。このような財源の課題は、ゆるクラだけでなく他の団体にも共通している。
「フリースクールなどの不登校支援は、運営者の多大な努力の上で成り立っているのが現状だと思います。子どもと接するだけでなく、保護者からの相談対応、学校関係者と連携などやることが多いなかで、財源確保にも動かないといけない。今後この業界にプレイヤーが増えていくか、心配な気持ちもあります。
保護者からの費用で賄うのも一案ですが、子どもが不登校だと離職率や休職率が高くなってしまうため、保護者からの費用で支援を継続するやり方は健全とはいえないでしょう。今後、ゆるクラは助成金の獲得や、法人の寄付や協賛を募る動きをする必要があると考えています」
法人寄付は税制上の優遇措置があるだけでなく、企業が目指す社会像を行動で示すことができるため、寄付自体を行う企業は少なくない。ただし、環境問題や、貧困の問題など、他の分野に比べて不登校支援への投資は一般的といえる状況ではないようだ。
岡村さんによると、「団体の多くは、自ら開拓したつながりで法人寄付をもらっているとよく聞きます」と語る。やはり、法人寄付を獲得するのは容易ではないようだ。
なお、団体には個人寄付をすることも可能だ。寄付の特典はさまざまだが、活動内容や子どもたちの変化を報告者やメールマガジンなどで知ることができる。支援の成果がみえて、社会貢献意識が満たされることがインセンティブになる。