ひとつの分野を5段階で評価

私を例にとると、私の場合は圧倒的に「読む」ことに特化した人間であるといえます。ここは5段階でいえば「5」です。その次に得意なことは「聞く」ことで、「4」だと思います。次は「書く」ことで「3」くらいとしておきましょう。もっとも苦手なのは「話す」ことで、これは「1」です。

すると、私はやや内向的な方向に寄った、インプット型人間であることがわかります。ですから、私が努力すべきことは、やはりインプット作業を主としたものとなります。

ほかの例を出しましょう。

たとえば、小学校時代の親友の話をすると、彼女は「話す」ことは文句なく「5」でした。誰もが彼女の話に魅了され、彼女がいるだけで、その場に笑いが起こり、ぱっと明るい雰囲気になりました。次に、話を「聞く」のは「4」でした。相づちの打ち方もうまく、彼女に話しただけで悩みが解決した、と思ってしまうくらい聞き上手だったのです。

一方、「書く」ことについては苦手で「2」です。実際に、彼女と交換日記をしたことがありました。話しているときは気にならなかったものの、彼女の文章は飛躍が多くて、主語や述語もはっきりしなくて、なかなか読みにくいなと思いました。

そして、もっとも苦手なのは「読む」こと。大人になってからの彼女は、教科書以外の本を読むことはなかったと公言していました。評価でいえば「1」になるでしょう。

すると、彼女が努力すべきところは、「聞く」と「話す」に特化した外交的なこととなります。ちなみに彼女は、いま美容師をしています。彼女によると、美容師というのは技術はもちろんですが、お客様とのコミュニケーションがとても大事だそうです。話すことも、お客様の話に相づちを打つことも、とても得意な彼女には、まさに天職といえると思います。

ほかの例でいえば、たとえば私の経験してきた分野だと、官僚は、政治家に対して口頭で報告する場合が多く、「話す」能力は、一流の官僚であるための大事な要件でした。これに対して、弁護士、少なくとも企業法務に従事する弁護士は、依頼者に対して文章で答えることが多く、「書く」能力にかけてはプロフェッショナルであることが求められます。

ひとつの分野を5段階評価することが得意分野を探すヒント 図/書籍『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』より
ひとつの分野を5段階評価することが得意分野を探すヒント 図/書籍『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』より