エクシアの巧妙なスキームとは?
エクシアは2022年から出資者が出金できないトラブルが頻発しており、混迷を極めていた。その年に被害弁護団が結成されている。
しかし、メインスポンサーになっていた2022年の大型ファッションイベントを予定通り開催するなど、派手な活動を行って出資者の反感を買っていた。しかも、そのイベントには菊地氏の元交際相手として有名なキャバクラ嬢が出演していたのだ。
投資詐欺が疑われれば、雲隠れするのがお決まりのパターンだが、菊地氏はSNSなどで情報発信を続けていた。
よほどの自信があったようにも思えるが、その背景にはエクシアが構築した巧妙なスキームがある。
エクシアは合同会社の社員権で集めた資金をトレードで運用していた。出資者はファンドに出資をするのではなく、社員権の取得契約を結んでいたのだ。これ自体は、違法でもなんでもない。
そもそも、合同会社は全員で出資をし、共同で事業を営む会社形態だ。株式会社は所有と経営が分離されているが、合同会社はそれが一体となる。
合同会社で出資金を運用すると、金融商品取引業の登録が必要ない。つまり、エクシアは法律に沿って活動をしていたというわけだ。
そのため、エクシアは投資利回りではなく、返戻率と読んでいた。
菊地氏はInstagramのライブ配信にて、出資した金額はエクシアの資本剰余金に計上され、そこから払い戻しがされていると説明しており、これが返戻率と呼んでいた所以である。
運用を行っているように信じ込ませながら、出資者への配当が別の出資者によって充当されている仕組みをポンジスキームというが、これは明確な投資詐欺だ。
しかし、エクシアは出資した資金は資本剰余金となり、合同会社の利益(利益剰余金)が配当原資となっていた。
それが社員(出資者)に還元されるという形態をとっていたのだ。
金融庁はエクシアのトラブルが表面化した2022年、合同会社の社員権取得の勧誘に注意するよう呼びかけた。今後は規制が強化される可能性もあるが、エクシアを投資詐欺だと断ずるのは微妙なところだろう。