店側は「単なる雰囲気作り」と反論
事業への実害が生まれるとみた入江さんは弁護士に相談。ポスターの撤去などを求める内容証明をプロジェクトM社に送った。しかし同社は入江さん側に返答をしなかったという。
このため、入江さんは今年3月、東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こすことになった。
入江さん側の加藤博太郎弁護士によれば、訴訟で入江さんは、①著名人の入江さんが持つ顧客を集める力から生じる経済的な利益・価値を排他的に利用するパブリシティ権の侵害、②入江さんから「闇営業」という言葉を想起させて社会的評価を低下させた名誉棄損、③本人に無断で入江さんの写真を使ったポスターを不特定多数の者が見られる場所で掲示したことによる肖像権の侵害――の3点を主張した。
さらに同社はホームページに「酔っ手羽の店内ポスターが頭可笑しい理由」「ちょっと行き過ぎた事や他のお店ではない酔っ手羽だけの面白さを提供しお客様に笑って楽しんでもらおうとの想いです。」と記載していた。
訴状ではこれを挙げ「(ポスターの)目的は原告(入江さん)を笑いものにするためのものであるから、非常に悪質である。原告が受けた精神的損害は計り知れるものではない」と主張した。
関係者によるとプロジェクトM社は訴えに対し「(ポスターは)単なる雰囲気作りのための装飾的使用である」からパブリシティ権侵害には当たらないと反論。
闇営業問題も周知の事実だとして「原告と闇営業を結びつけたとしても、原告の社会的評価それ自体は低下するものではない」と主張した。
一方で「(ポスターは)お客さまの目に入ったときにクスッと笑ってくれたらいいな、という単純な発想であった。ただ、原告に不快な思いをさせてしまったことについては真摯に反省し、お詫び申し上げたい。」と表明。
無断で入江さんの写真を使ったことは肖像権侵害に当たると認め、裁判初期から慰謝料として「20万円」を支払う意向を示していた。