〈後編〉

水ダウで大人気の“ひょうろく”って誰?

ツルツルのスキンヘッドと、眉尻が大きく下がった困り顔が特徴的な「ひょうろく」。

いつも控えめで、どこか頼りない雰囲気を醸しているが、時に予測不可能な言動で周囲を驚かせ、爆発的な笑いを生む。

令和のバラエティシーンに彗星のごとく現れた彼は一体何者なのか。

「お笑い芸人に誘われた理由は、わっ……かんないですね……。周りにはもっとおもしろい友達がいたので『なんで僕?』っていうのはありました」(ひょうろく、以下同)

20代前半の頃は、建築関係の会社で設計と営業を担当していた、ひょうろくは現在、37歳。

ごく普通のサラリーマンだった彼にお笑いの世界へ入るきっかけをくれたのは、元相方の高校の同級生だった。

「もともとお笑いは好きだったんですけど、特別、なんかこう、お笑い芸人になりたいとかって感じではなかったです。それでもなんか、誘ってくれたから、やってみるかぁと思って」

ひょうろく氏
ひょうろく氏
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半ば勢いでお笑い芸人デビューを決意し、同級生とともに「ジュウジマル」というコンビを結成したが、当時からフリートークは苦手だったようで。

「ネタは台本があるから喋れるんですけど、ライブのエンディングになると前に出られなくて、一言も喋らないっていう……。でも、当時は一生懸命というか、お笑い芸人なんだから、明るく、明るく、明るくって振る舞っていました」

ジュウジマルは、2019年のM-1グランプリで三回戦まで駒を進めた実績を持つ。徐々に頭角を現しつつあった二人だが、2020年にコンビは解散。

不運なことにその前後で原因不明の病気にもかかり、緊急入院を経験した。

「肝臓の値が、なんか、普通の人の10倍以上になってしまって……。あ、お酒はぜんぜん飲まないんですけど、どこかの傷口からばい菌が入ってしまったみたいで、身体が動かなくなり。今後のことを何も考えていなかったので、ちょっと人生やばいなと。30代でこれはもう、けっこう詰んでるなぁって……」